U

□風邪の日
2ページ/4ページ



美術室には人だかりが出来てた。

本当にキツいから、人だかりは避けたいな…。


でも、美術室へはそこを通らないと入れない。


椿「はぁ。

テニス部の誰かがいるっぽいわね。」


うん。

私もそう思う。


そう言いたかったけど、苦笑することしか出来ない。

私と椿は窓辺で人だかりが無くなるまで涼むことにした。


あ、ちょっと風が気持ちいいかも。


「幸村先輩〜!」


「今日も素敵…。」


「キャーッ!」


今日は頭に響く声。

声、少しだけ下げてください。


とは言えない。


椿が私の頭を撫でた。


椿「幸村先輩がいるのね。」


『うん。』


幸村先輩、ほんとに人気有るな…。


幸「ノドカちゃん。おはよう。」


と、人だかりから無事脱出した幸村先輩が来た。


『おはようございます。』


幸村先輩はじっと私を見た。


幸「ノドカちゃん。もしかして、具合悪い?」


『いえ、平気です。』


幸村先輩はまだ何か言おうとしたけど、丁度チャイムが鳴った。


『あ、私はこれで。』


私と椿は美術室に入った。


幸村先輩のすごく心配した目が、まだ頭に残ってる…。


美術の授業で私はカルピンの絵を描いた。

必死で気を保とうとする。









美術が終わって、お昼休み。


私は椿と一緒に食べた。

食べられるだけでも食べないと。

教室に戻ってやっぱり机に突っ伏す。

椿は職員室に呼ばれている。


風のあたるとこに行きたくなったな。

私はぶらぶらと歩き出し、気付いたらテニスコートにいた。

今は先輩達に会いたくない。


真「ノドカ?」


真田先輩、タイミング良いですね…。


『こんにちは。

ミーティングですか…?』


真「あぁ。

ところで、ノドカ。

幸村が心配していたぞ。」


やっぱり…。


真「熱が有るな…。」


真田先輩は私のおでこに手を当てて言った。


否定したいんだけど…、頭が本当にぼーっとして、真っ白になった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ