Another
□キミの虜になった時。
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でも、俺が好きなのは椿ちゃんだけ。
椿ちゃんに恋をしたのは、四月。
入学式がメンドーで、終わるまでどっかで時間潰そうとブラブラ歩いてる時だった。
「ねぇ、そこの人。」
女の子の声に条件反射のごとく笑顔で振り向く。
柾「何?
………ッ。」
その子を見た途端、俺は息を呑んだ。
「かっこいい」子がいたから。
かっこよくても女性的な要素が混ざってたから、女の子ってわかったけど。
……彼女を表すなら綺麗って表現が一番しっくりくるかも。
「はい。」
スッと差し出されたのは、俺のケータイ。
柾「あ、ありがとう。」
歩いてる内にどっかで落としたんだ…。
「どういたしまして。」
…笑われた。
普段は気にならないのに、急にそんなコトを気にしてる自分がいた。
「それじゃ、またね。」
にこやかに笑って、彼女は踵を返した。
柾「またね…。」
そっか、新入生同士なんだ。
だから、彼女の名前もわかるし、呼べる…。
さっきまで、入学式をメンドーとか思ってたのに、いつの間にか俺の足は体育館に向かっていた。
「…入学式、出るのか。」
##NAME3##は体育館に戻った俺を見ると案の定、不思議がった。