Another

□兄と弟。
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少しの間、その姿を見ていたが…、


溜め息を吐いて口を開いた。


翡「なぁ、休憩しねぇの?」


黎「あぁ…。

それもそうだな。」


一区切りついたし、と続け、部屋を出た。


翡「別に今日中に片付ける必要なんてねぇのに…。」


先に階段を下りる弟が漏らした呟きに黎弥は苦笑いした。


黎「つい、な…。」


翡「わかってるよ…。」


黎弥が何事にも熱中しやすいタチだと誰よりもわかっている翡翠が笑った。


翡(熱中しやすいから、数学教授になれたんだろーな…。)


なんてことを、思うのだった。




居間に着くと、翡翠が自分の前にケーキとコーヒーを出してくれた。


翡「帰ってくる前に、途中でケーキ屋寄って買った。」


黎弥の向かい側に座り、翡翠は自分で淹れたコーヒーを一口含んだ。


そして、直ぐに渋い顔をする。


翡「##NAME1##が淹れてくれた方が美味い…。」


そう言うと、溜め息を吐いてカップをソーサーに戻した。


黎「そうか…?

翡翠が淹れてくれたコーヒーも美味いぞ。」


笑って言うと、翡翠は肩を竦めた。


翡「##NAME1##に淹れ方教わったからなー、それなりに美味くねぇとさ。」


黎「そうか。


そういえば、お前の分のケーキは?」


翡翠の前に置かれているのは、コーヒーのみ。


翡「あー、別に要らねーから買わなかった。」


黎「お前、甘い物はそれなりに好きじゃなかったか?」


翡翠は辛い物が大好きだが、甘い物も好きなのだ。


翡「…そん時は気が向かなかったんだよ。



でも…、」


黎弥のケーキを見つめ、


翡「妙に食いたくなってきた…。」


珍しく拗ねた言い方に、黎弥は笑ってケーキを差し出した。


黎「ほら。」


翡「…食って良いのか?」


黎弥が頷くと、


翡「ありがと…。」


小さく呟き、もぐもぐとケーキを食べ始めた。




黎「偶にはこうやってのんびり過ごすのも、良いな。」


翡「うん…。」



黎弥と翡翠の、何てことない日常…。
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