Another
□兄と弟。
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黎弥にとって、翡翠、香、リョーマは弟だ。
勿論、##NAME1##も大切な妹だ。
黎弥は自分の部屋にある物を<要る物>と<要らない物>に分けていた。
よく、こういう作業中は、懐かしい物を見つけるとついつい手が止まったりする。
が、
越前黎弥はそんなタイプでは無く、
黎(これも要らないな…。)
古そうな何かの資料の束をチラッと見ただけで、何の未練もなくゴミ袋に捨てた。
つまり、黎弥は掃除中に捨てるのが勿体ないと悩んだり、懐かしさに浸るタイプでは無いのだ。
その分、早く終わるので効率は良い。
−−逆に言うと、
他人の部屋を掃除する時は、黎弥を止めなかったが最後、目についた全ての物を捨ててしまうのだ。
何年か前、香とリョーマが年末の大掃除をめんどくさがった時、黎弥が代わりにした事が有った。
リョ「じゃ、黎弥兄よろしく。」
香「よろしく〜!」
二人は黎弥に大掃除を押し付けると、ラケットを持って外のテニスコートに行った。
大掃除が終わり、二人が自分の部屋を見ると揃って悲鳴を上げた。
何しろ…、
香「ちょ、ゲームは?」
リョ「何でベッドと机しかないの!?」
最低限必要と思われる、ベッド、机、クローゼットの中身しか部屋に残ってなかったのだ。
その後、香とリョーマは黎弥に抗議したが、
黎「大掃除を自分でせずに、人に押し付けたお前達が悪いだろう…。」
と、至極当然の事を呆れ顔で言われただけで終わった。
ぽいぽいと、色々な紙切れや雑誌を微塵の躊躇もなくゴミ袋へ捨てる兄を翡翠は見つけた。