11/07の日記

00:19
嘘と本当(ハビ→チプ/MU)
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チップ・ゴフはRΩRの中では目立たないモンスターである、と思っていた。目立つことは進んで行わない上に、地味なことばかり率先して行う彼を目立つ奴だと思うモンスターは少ないだろう。つまり俺は、甘く見ていたのだ。彼の魅力を知る者は俺しかいないだろうと。

「ありがとう」

嬉しそうにチップが微笑む。彼に手紙を渡した一つ目の容姿端麗な女性モンスターが、顔に花を咲かせ、喜ぶ。普段の俺ならば、なんとも思わないだろう。手紙を渡した相手が、チップでなければ。チップは嬉しそうに、口元を緩めて彼女を見ている。その光景を見ている俺は今、酷い顔をしているだろう。

「チップ、」

チップが声に反応して振り向いた刹那、俺と彼の唇が重なった。軽く触れるだけのものだったが、横にいる女の喜ぶ顔を崩すには十分すぎるものだった。目の前にいるチップは突然の出来事に目を見開くのみである。恐らく状況が理解出来ていないのだろう。

「悪い。俺とコイツ、付き合ってるから」

その言葉を残し、「え、嘘、そんな…!」という女の声を背に、ロアーのクラブハウスへ戻った。



「ハビエル!お前どういうつもりだ…!?変な嘘吐きやがって…!!」

本の文面を追っていた筈の目はチップを映し出していた。どうやら、俺は彼に胸倉を掴まれているらしい。彼の様子を見ると、誤解は解けなかったことが窺える。必死の形相を浮かべる彼に、底から出る笑いを抑えきれなかった。

「何がおかしいんだよ?!」
「これで周りは俺達が付き合ってる、って思うよな」
「ふざけるな!!」

彼は俺の言葉を冗談だと受け取ったらしい。冗談で言える程俺は馬鹿ではない。この世界で同性愛への偏見が無いわけでは無い。周囲は完全に俺と彼を偏見に満ちた目で見るだろう。むしろ俺には好都合だ。誤解が解けない今、彼と俺は「恋仲」という関係である。嘘であっても嬉しいことだ。

「お前は、俺と付き合ってる、って言われて嫌じゃないのかよ?!!」
「むしろ嬉しい」
「はぁ?!」

呆気にとられた彼は、胸倉を掴んでいた手を緩め、一歩、後ろへ引いた。その手を掴み、引き寄せる。

「嘘は良くないだろう?チップ、俺と付き合おう」

嘘が本当になるまで、あと一歩。

Fin.

うーーーん!書けない!でもハビ→チプ好き!!

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