大尉×ウォルター部屋
□小説〜二度目の対面
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「お前さーちょっと変だよな」
「(どこがだ?)」
廃墟と化したビルの屋上で、ハンスと違うという男と、ウォルターは対談していた。
「だって、俺はお前らの敵だぞ?欲しいだの、渡さないだのおかしいだろう?」
タバコを一本口に咥える。
「(ウォルターは、こっち側だと思うから・・・)」
「ナチスの?それこそ笑える」
ニヤリと笑い返せば、ハンスではない男は真剣な眼差しをして、ウォルターの両肩を掴んだ。
「(俺はハンスと変らない、だから・・・俺の伴侶となってくれ)」
今度こそウォルターは噴出した。
「ばっかじゃねーの!!伴侶ってのは、男と女がなるもんだ。俺は英国、お前はナチス。どう考えても、一緒にはなれねぇよ」
「(それでも・・一緒に居たい・・・)」
必死な眼差しに、ウォルターは目を丸くした。
今にも泣きそうな・・・
そんな表情を見せられては、何も出来ないし、しようと思わない。
「お前なんなんだ?ナチスの部下じゃねーの?」
髪の毛をガシガシと掻く。
混乱してきたのだろうか。
「(俺は・・・ハンスとは違う存在)」
「二重人格ってやつ?めんどくせー」
相手にできるかと立ち去ろうとすると、腕をがっしり捕まれた。
「なんだよ・・・」
「(答え・・聞いてない)」
答えなんて決まっている。
自分は英国のヘルシング機関の人間。
相手は男な上に、ナチスの部下。
だけど、寂しそうな男の顔を見ると、何も言えない。
「今後のお前の行動次第だな」
フーっとタバコの紫煙を顔に吐いてやった。
煙たそうに眉を寄せる。
想った・・・
可愛いやつだと・・・
そして、大尉とウォルターの交流が始まった。
ヘルシング機関には内密にだったが、大尉は少佐に全てを話していて、筒抜けだった。
だが、一つの条件を出してきて、今までどおりだが、一つだけ心に決めた。
奴を、この手で倒すこと・・・・
それが条件・・・。
叶うのは数十年も後。
それでも待とう、可愛い人狼と共に・・・・