大尉×ウォルター部屋
□小説〜二度目の対面
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ナチスの少佐を襲撃してから、数日・・・
何か違和感が感じられる・・・
なんだろう?体のスミからスミまで舐められてる感じがする・・・
ウォルターは、紅茶を煎れつつ、身にまとう視線に警戒していた。
「おら、紅茶だ」
「ウォルター、もう少しおしとやかに出来ないのかね?」
ヘルシング卿当主、アーサーが仕事の山でうんざりした顔でウォルターに言うと、ウォルターは鼻で笑ってやった。
「俺は元々ゴミ処理係だ。執事の真似事なんてできるか」
「まったく・・・そうそう、この地区で化け物どもが暴れてるらしい。アーカードを出すまでもない。君が行ってくれ」
出された地図には小さな村が記されていた。
確かに、アーカードを出すほどの規模じゃない。
「了解(ヤー)今夜にでも行ってくる」
「行ってらっしゃい。愛してるよー」
アーサーの冗談には聞き飽きた。
満月が綺麗な夜だった。
村に到着したウォルターは、グールドもを殲滅していく・・・。
目標は、グールを増やした吸血鬼だ。
グールが集まる方に行ってみると、グールが一気に消えて行った。
「なんだ?どういう・・こ・・と・・」
片手を血まみれに染めたハンスと呼ばれた男。
ナチスの少佐の部下の姿。
「貴様・・・」
「よぉ、死神ぃ〜」
ヒラヒラと手を振るハンス。
構えると同時に、首をつかまれ叩きつけられてしまった。
「(早い!!)」
「お前さぁ〜俺の物になっちまえよ」
言うが早く、ハンスは、ウォルターの唇をベロリと舐めた。
「ふざけるなー!!」
ウォルターは、ハンスの腹を蹴り飛ばし、瞬時に距離をとる。
「おーいてぇ・・・。やっぱ玩具は壊れにくいのが良いよなぁ!!」
誰かに聞かせるように大声で喋るハンス。
「?」
ウォルターは警戒を怠らず、様子を見る。
「は!ははっははははは!!!!そうだ、怒れ!お前が欲しいんだろ!!俺に盗られたくないんだろう!!」
何を一人で言っているんだ?と首をかしげると、ハンスが上半身をダラリと下げ、大きく震えた。
そして、スッと顔を上げたと思うと、無表情だが、どこか大人しい表情をしていた。
オロオロしながら、ウォルターに近寄る。
「寄るな!」
ビクッと怯えるハンス。
ウォルターは、豹変したハンスに、ますます疑問を抱く。
「お前は俺の敵だ」
ハンスは首を振って否定した。
「何が言いたい!しゃべれ!!」
「(俺はハンスじゃない。ハンスは奥に押し込んだ。どうか、警戒をといてほしい)」
言葉ではなく、念。
まるで頭に響く声。
「????」
ウォルターには?が飛ぶ。
「えーと?どういうこと?」
「(ハンスは、俺のもう一人の俺。殺しが大好きな男)」
十分危ないやつだろうと思う。
「じゃぁ、お前は?」
「(俺は・・・元々の俺。ウォルター・・・お前を一目見て、欲しいと想ったんだ)」
殺意のない瞳、伸ばされる腕にウォルターは、戸惑った。
「欲しいって?」
あらかさまに不機嫌ですと言わんばかりに眉間にしわを寄せる。
「(うん・・・お前の全てが欲しい・・・ハンスには渡さない)」
素直だ・・・。
ウォルターは、捕まれた手を離そうとは思わなかった。
むしろ、可愛く思えたのだ。
ハンスのもう一人と言う男を・・・。