リクエスト

□想いの差
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side.China



「日本!にほんー!」
目の前の黒髪に呼びかけた。
「…どうかされましたか、中国さん」
どこか鬱陶しそうに見えるのは気のせいだろう。
うん、きっとそうある。

「日本、さっきそこでおいしそうな店見つけたある。一緒に行くある!」
「ちょっと、引っ張らないでくださいよ…。あなたの頭には『人の都合』という言葉はないんですか」

そう言いながらもちゃんとついてきてくれる。
やっぱり日本は自慢の弟ある!

意気揚々と店へ入ると、
「中華料理に昨日食べたばかりなんですけどね…」
日本が小さく呟くのが聞こえた。
「中華料理はいつ食べてもおいしいある!とにかく食べるよろし」

いつものように大量に注文する。
瞬く間に、たくさんのおいしそうな料理がテーブルに並べられた。

「…私、こんなに食べられませんよ?」
「大丈夫ある。我が食べるある」
日本が少食なのは知っている。
…まったく、しっかり食べなきゃ成長しねーあるよ。
食べるのに夢中だったので、その言葉は言わないでおいた。
と、

「…!?」
ふと目についた棚の上に、小さなぬいぐるみを見つけた。
目線は一瞬でそれに釘付けになった。
「し、シナティちゃんある!」
それを引っつかんで抱きしめる。
「かわいいある〜」

店の人の声が聞こえた気がする。
でもそんなことよりも腕の中の可愛い存在に夢中で、たった一人の同席者のことさえ忘れてしまっていた。



***

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