青の長編

□祭とダンスと恋と募る想いと
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「雪ちゃん!!」


正十字学園内のとある中庭…


「しえみさん」


祓魔師が行き交う中で、雪男は走り寄って来るしえみに振り向いた


「あっ
お、奥村先生……!!
一番に知らせなきゃと思って…」


外なのに「雪ちゃん」と呼んでしまい、しえみは慌てて「奥村先生」と言い直し、雪男にとある紙を見せる


それを見た雪男は優しく笑った



「…合格おめでとうございます」

「ありがとう!!
奥村先生のおかげだよ!」


しえみは顔を赤く染めながらも嬉しそうに笑った



―――……




「無い……
ここにも無い…」



「どこへやったんだろ…」



旧・男子寮


真夜の部屋は錯乱していた


そうしたのはその部屋の主である彼女だが



「まさか…どこかで落とした…?」



探しているのは、京都タワーで燐とお揃いで買ったあのストラップキーホルダーだ

部屋のあらゆるところ、寮内全てを探したが見つからない


「どうしよう…」


真夜は呆然と立ち尽くす


すると携帯が鳴った



「はい、藤本です」

『おはようございます、真夜さん
突然申し訳ない☆
今、お時間よろしいですか?』

「はい
何でしょう?」


『実は…』


相手はメフィストだった



―――……



「いーなぁ
お前らの寮、めっちゃ綺麗だな!!」


一方、男子寮・新館にて…


燐は志摩と子猫丸の部屋に遊びに来ていた


「つーか、ずっと何やってんの?」

「これ?」



「悪魔ごとの戦闘データの分類!」


子猫丸は楽しそうにパソコンを弄っていて、燐は牛乳を飲みながら画面を覗く


「正十字騎士團でここ百年のデータファイル貸し出してるんやけど…
それを自分用にまとめてるんよ」



「この間の擬態霊との戦いで、僕には情報分析のほうが向いてるて気付いたから、これからは…詠唱騎士の称号を取るにしても、戦闘には参謀役としておれたらええな思てるんや」

「…そっかー」



「全く判んねーけどすげーな!!
俺みたいのいるから、詳しい奴がいれば絶対重宝されるよ!」

「いやぁ
奥村くんは、ほんま清々しいなあ」


「お前も清々しいぞ!」


そう子猫丸の頭を撫で回す燐

子猫丸は「やめて」と苦笑いしながらも、棚の向こうのベッドでエロ本を見てにやけている志摩に目をやる



「それにしても…」




「志摩さんはどうしはるつもりやろ
詠唱騎士には確実に向いてへんのに…」
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