青の長編

□夢と逢瀬と癒しと人の欲望と
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「おやすみのところ申し訳ない」




「実は、どうしても真夜さんとお話がしたくて、つい貴女の夢の中にお邪魔しました☆」


任務を終えて眠りについた頃、闇の中から帽子を脱いで会釈するメフィストが現れた


「…果たしてこの夢は、本当にただの“貴女の夢”なのか
それとも“現実”なのか…
どちらを取ろうと構いません」



「私はただ、真夜さんと二人きりで話がしたい…
真夜さんに私の話相手になって頂きたいだけですから」


そう微笑むと、メフィストは軽く咳き込んで紳士らしく会釈するように帽子の鍔に触れた


「えーー」



「あくまで悪魔である私の持論ですが、人間は“三つの欲”に生かされています」


「一つは“物欲”
…まあ金銭欲ともいえる
なにせ人は衣食住が調わなければ死んでしまう」


「二つめは“性欲”
こちらも至極シンプル
子孫を残し増えていかねば全滅してしまう」

金と料理、女の人形を得意な魔法で出しては消していくメフィスト

彼は薄く笑みを浮かべながら話を続ける


「そして、この二つよりももっと重要な“欲”があるのです
真夜さん、何だと思いますか?
当ててみてください」


メフィストは人差し指を立てる


「“睡眠欲”ですか?
僕はもう眠いです…」


そこで第三者の声が闇から聞こえた


「馬鹿者
お前には聞いていないし違う!」


メフィストは声の主をうざったそうな顔で手で払う

だがこちらが呟けばすぐに耳を傾けてきた


「え?
“名声欲”!?
うーん!
いい所を突いていますが違います
それは最悪なくても生きていける」



違うようだ…


ならばと思いつくものを言ってみる


「“愛”!?
私を誰だと思ってるんです?
愛など執着の錯覚だと説くのが悪魔ですよ」


「正解は“知識欲”!!
これこそ人が欲する最も強力な欲望なのです」


“知識欲”…


それこそ“名声欲”と同じではないか?と思う


それだって最悪なくても生きていけるのではないか?


「おや
何ですって?
『私はそんなに頭が良くなくても構わない』って?」


「フハハ!!
バカな!!」


メフィストは嘲笑って否定する


「何をおっしゃる
そんな事はないはずだ
誰しもが自分が一番賢く、誰もまだ知り得ぬ知識を自分だけが手に入れる優越感に浸りたいはずだ!!」
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