青の長編

□別れと手紙と海と双子と
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「では、我々はこれで!」



「藤堂三郎太の追跡――及び残務処理等宜しく頼みます、所長!
また改めて本部からも人を送りますんで!」

「まかせて下さい」


時は流れ、遂に別れの日がやってきた


シュラは八百造と強く握手を交わす


「……
そういえば、フェレス卿のお姿が見えへんようですが……」

「あー
アイツ、本部と支部つなぐ鍵持ってるんで先帰ったんじゃないっスかにゃあ?
おっと
噂をすればかよ」


話しているとシュラの携帯が着信を知らせる

相手はメフィストのようだった


「なんだ、メフィスト」


一旦、シュラは八百造から離れ応答に出た


「女将さん、お世話になりました!」

「こっちこそ、コキ使ってえらいお愛想なしで堪忍え
お口汚しかもしれへんけどお土産!
がんばってね!」


「子猫丸
あんま無理しすぎたらアカンで」


しえみは一番関わった虎子と挨拶し、柔造は子猫丸に声を掛ける


「やー
やっと帰りしなやー!
も、痛いんも怖いんもカンベンやでー」


そう陽気に笑う志摩だったが…



「チェアアッ!」

「痛い!?
なんで!!」


いきなり金造に頭にチョップを落とされた


「頭の色がムカついてんや…
なんやその頭
ナマイキに…」

「別れ際になって!?
おっそ!!」

「ゴルァ!
別れ際やぞ、仲良ぅせえ!!」


どうやら志摩の髪型に今さら気付いたらしい

喧嘩を始める弟達に何故か頬に引っ掻き痕が残っている柔造が声を荒げた


「!?柔兄、その顔どしたん!」

「蝮や!
一昨日の可愛気どこ行ったんや?アイツ…
ほんま強情やで!」

「そんなんで結婚できるんか…?」


戦いが終わった後、実は柔兄と蝮は婚約したのだが蝮の方が素直ではなく、まだ少し犬猿が続いているらしい


「それはそうと、お母から伝言や
東京で女の子泣かしたらお前殺しに行くて」

「怖ッ!!
なんやねん、みんなして!!」


柔造による母からの伝言に志摩は顔を青くした


「燐くん
降魔剣の事やねんけど……」

「!」

それぞれ別れを惜しむ中、達磨は燐に声を掛ける


「これからその剣で困った事があったら、私を頼ってや」



「君の魔神の炎そのものには詳しないし、私は加褸羅との契約も切れてしもてるけど、少しは力になれるかもしれへん」

「あ…
ありがとう!」


「私こそ有難う
君は藤本くんそっくりの立派な人や」



「ええ人見つけたな、真夜ちゃん
きっとお父さんも安心してはるよ」

「「え?」」


燐の肩に手を置いて微笑む達磨に真夜と燐はきょとんとする


その様子を雪男が冷たい目で見ていた事を三人は知らない
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