青の長編

□出張と馴染めぬ二人と悪魔への恐怖と異質者への偏見と
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「…うら゙ああ゙あ゙ッ!!!!」



翌日、燐は朝から寮の屋上でシュラに課された修行に励んでいた


だが進歩は見られず、青い炎は三つの蝋燭を燃やし尽くす


「ハァ、ハァ
ダメだ、こりゃ…
センスねぇ…」

〔わぁ
あおくてキレイだなあ!〕

「くっそぉ〜!!
あっぢぃ〜」


暑さと何回目かわからなくなった失敗に汗だくになる燐


彼の膝にいるクロは、楽しそうに笑っている


《雪男!!
ぜってーお前を抜いてやるからな!!》

《…兄さんが僕を…?》



《まあ、せいぜい頑張って!》




(ド畜生ぉおが!!!!
雪男のヤロウ!
ちょっと先に進んでるからって調子づきやがって
…みてろ…!)


先日の雪男とのやり取りを思い出し、苛つきに満ちた表情になる燐

さらに雪男と同時に、真夜とメフィストのやり取りが過った



「俺だってアイツの頭触った事ねーのに!
畜生っ!!」

〔え!?
アイツってだれ?〕


自分の頭をガシガシと掻き乱す燐にクロは軽く戸惑う

だが燐の記憶は止まる事なくその先を映す


《藤本さん
貴女の悩みが、一日でも早く解決される事を祈ってますよ》


真夜の頭に手を置いたメフィスト

その姿に燐はハッとした顔になり、自らの頭を掻く手を止める


(…悩み…)


自分は、何も知らない…


彼女が何に悩んでいるのか…

いつ悩み始めたのか…


メフィストは知っているのに、自分は何も知らない…

そして真夜も、何も語らない…


《……
大丈夫だよ》


最近判った、あの愛想笑いで誤魔化す…


(…ちくしょう…)



何もしてやれない悔しさ、メフィストへの嫉妬、真夜が何を悩んでいるのかも聞き出せない己の無力さに、燐はギリッと歯を噛む



「しっかし、全く成長がみられないね」


すると近づいてくる声と気配を感じた



「げぇ、シュラ!!」

「おふぁ〜い」


シュラだった


彼女は眠たそうに欠伸を漏らしながら、梯子を登る


相変わらず丈の短い寝間着で、下半身はパンツは穿いているが太ももまで丸出しだ



「チッ
見つかったか…!
秘密で特訓してたのに…!」

「いや、お前が毎朝ここで特訓してたのは把握してたよ」

「へっ
まじで!?」


せっかくの秘密特訓だったのに始めからバレていたらしく、燐は衝撃を受けた
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