青の長編

□炎の制御と心の制御と祓魔師への道と悪魔への道と
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朝、真夜はベッドの上で踞っていた


目覚まし時計を見れば、もうすぐ塾に行かなければならない時間だ


けれど体が…心が重くて動けない



(……燐君…)



自分がもっとしっかりしていれば…



悔しさとやるせなさで布団の中で丸まる


そのせいで、小さな悪魔が自分に寄っている事を気付かなかった


{キシャー!}

「!?」


聞き覚えのない奇声に驚き、体を起こせば初めて悪魔に気付く


「なっ…!」


近くにある降魔杖に手を伸ばしたが、悪魔の方が早かった


迫り来る鋭い爪にキツく目を閉じる



{ギャア!!}

「!」


だが痛みは来ず、代わりに悪魔の悲鳴と斬られる音が聞こえた


恐る恐る目を開けると、そこには魔剣を鞘に納めて肩に担ぐシュラがいた


「お前に泣いてる暇なんてないはずだぞー?」

「シュラさん!?」


まさかの来客に真夜は目を見開く


「…お前はメフィストにも目ェつけられてんだからな」

「え…?」


「ほらほら、さっさと着替えろー」


「あ、あの…
塾は…?」


「いいから、いいから」



シュラは鼻唄を歌いながら真夜に制服を投げた




――……




「スーー…」


「ハァー…」



同じ頃、燐は塾の教室の前で深呼吸していた


「…よしッ」


そして勢い扉を開ける



「オハヨウ、諸君!!」


雪男と同じ髪型で牛乳を片手に


「およっ」



けれど教室にいるのは、しえみ、出雲、宝の三人だけだった


一瞬、空気が凍てついたのは気のせいではない



「少ねーな…
真夜もいねーし…
あれ…
京都の三人組は?」


それでも、いつも通りにと振る舞う


「…病院で検診受けてるから休みなのよ
三輪くんは入院してるし…」


そこで出雲が答えた


「おー
そっか!」



「何も悪いことないといいけどな!」


出雲の言葉に納得した燐は各々席につく


その瞬間、燐の隣にいるしえみが軽くビクつき俯いた


「…………」



「な、なんだよ…
まだ俺こえーのか?」


今はもう正気に戻っているのに、昨日と同じ態度の彼女に、燐は半ば呆れるように訊ねた



「…!
ここにいたのか!」

「ちがう!!」



そこで雪男と講師の湯ノ川が教室に入る


同時にしえみの怒鳴り声が響いた


「はぁ!?…じゃ、なんでそんな怒ってんだよ!
あ、謝ればいいのか!?」

「ち…
ちがうよ
謝るなんて…
そんなことして欲しいんじゃない…」
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