青の長編

□遊園地と奇襲と監察官と誘惑と
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「皆さん、初任務どうしたはりました?」

「…どーもこーも…」



「僕は蝦蟇のオリの掃除でした」

「俺は山奥の現場まで物質運ばされたわ」

「俺は多摩川で囀石採りに連れてかれました」



翌日、候補生達は遊園地に集められた


所々にメフィストらしき像や看板があり、メフィスト像付近にて集まった候補生達は、各々過ごしてきた休日を話す


何故か女子がいない


「任務やなくて雑務ばっかやな!」

「そんな、まだ候補生なったばっかなんやさかい、しゃーないですよ」


不満を口にする勝呂を宥める志摩だが…



「へっへっへ〜〜!」



「俺は、ひと足先に悪魔倒しちゃったぜ!」


燐が得意げな顔で勝呂達に自慢した


「…はぁ?」

「しかもその後、俺の使い魔にしたんだ!」

燐が言っているのはクロの事だ



「……
……
じゃあ今、召喚してみい」

「えっ…?
家に置いてきたよ」

「……」



納得いない顔でその証拠を求める勝呂


だが今、燐の側にクロは居らず、彼は寮で留守番だ


もちろん、燐に魔法円は描けない



「…まぁコイツは置いといて」

「オイ!
嘘じゃねーんだぞ?」



結局話にならず、勝呂は燐の話を聞かなかったことにした


全く信じてもらえていないとわかった燐は事実を訴えるが勝呂は話を続ける


「俺はあいつらまで候補生に上がりよったのが納得いかんわ!」



“あいつら”とは、グールの奇襲で一切の行動を見せなかったフードの少年と人形の少年の事


二人はそれぞれ趣味に夢中だ



「意外と俺らに見えへんとこで頑張ってはったのかもしれませんよ?」

「何や!
見えへんとこて!
見えるとこできばれや!」


志摩が宥めるが効果はない



「…てか、女子遅ない?」

「すみません!」




「遅れました…!!」


そこでやっと女子達が集まってきた


しえみの服装が着物から正十字学園の女子制服に変わっている



「し
しえみ!?
どうした?
キモノは?」


しえみの姿に動揺する燐


雪男も驚きを隠せないのか彼女を凝視している



「着物は任務に不向きだからって…
理事長さんに支給していただいたの…
真夜ちゃんと神木さんと朴さんに着方を教わっていて遅れました…」


どうやら制服は、メフィスト直々の支給だったらしい



そんなしえみの後ろで「なんであたしが…」とぼやく出雲を真夜が宥めている
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