青の長編

□猫又と守り神と人間と大好きだった主人と
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―――……




燐が真夜の部屋に飛び込む数十分前の出来事…



「あ゙ー!
あぢい〜〜!」



季節は真夏に入り、燐は暑さにうだりながら帰宅した


「おかえり」


「売店、混みまくって時間かかっちったよ…」


「あ〜〜!!
俺のゴリゴリ君、溶け出してるじゃねーか!」

「……」


机に戻るなり、燐は溶け始めているアイスキャンディの袋を開ける


「…僕のミネラルウォーターは…?」


「え?
あれ!?
………
…あっ、ゴメン
忘れた
……ホラ…
…水って、カゲ薄いじゃん
…透明だから」



どうやら燐は自分の用事のついでに雪男におつかいを頼まれていたらしい


…雪男のは買い忘れたが



「俺のゴリゴリ君喰うか?」

「…いらない
いいよ、後で自分で買ってくるから」



申し訳なさそうにゴリゴリ君を差し出す燐だが、冷たく断られた


燐はゴリゴリ君をくわえ、作業を再開する弟に「ごめんな」と謝る


そして消しクズだらけの自分の机とノートを見た


「はぁ…しかし折角の日曜なのに、課題やら宿題やら参っちゃうな!」



「あーあ
せっかく候補生になったのに、勉強ばっかで訓練生と変わんねーよ」



「しかもコレ見たら、候補生って下っぱじゃんか!」



そう雪男に少しだけ読んだ正十字騎士團に関する本の『祓魔師基本階級・称号』のページを見せる燐


図は至ってシンプルだが、最近昇格した『候補生』は下から二番目の階級だ


「お前って、コレのどの辺なの?」

「中一級」



雪男の『中一級』は、『訓練生』から六番目の称号


一番上にある『聖騎士』と一番下の『訓練生』の丁度中心辺りだ


「なんだ!
お前も大したことねーな」

「兄さんに言われたくないな」


「……」



カカカカ、と笑う燐だが雪男の一言は最もで何も言い返せなくなった



「チッ
この一番上の“聖騎士”ってのになるとしたら、どんだけかかんだよ…!」

「……」

「あーあ
早く任務やって実戦積みてーな!」


そう今の自分の階級と実戦へのストレスに不満を溢す燐だが…



「“聖騎士”はたった一人の祓魔師に与えられる最強の称号だ
誰にでも与えられるものじゃないし、第一、兄さんに当分任務はさせないよ」


「…は?
おま、何いってんの?」




雪男の言葉に目を見開いた
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