青の長編

□召喚と試験と合格ともんじゃと
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―――……




「…これでもう大丈夫」



「あと2、3日もすれば熱も引いて動けるようになりますよ」

「…ありがとうございます
奥村先生」

「いいえ…」


「それじゃ、安静にしていてくださいね」

「はい…」



朴に注射を打ち、雪男は席から立ち上がる


「お大事に!」

「ゆっくり休んでね」


最後に燐と真夜が言葉を掛けた


「ありがと、奥村くん
藤本さん」



二人に微笑む朴



そして真夜達は、出雲と朴を残して部屋を出た




「昨日の悪魔って、どーなってんだ?」

「今、新入経路と行方を捜索中」



「中級以上の屍だった
この学園は、強力な魔除けで守られているけど、希にああいうのが入り込むんだ
普段から気を引き締めておかないとね…!」

「……」





―――……






《コレモ、サルオカタノ
ハカライニヨルモノ》



雪男と真夜と別れた後、燐は一人、寮の屋上で寝転がっていた



過るのは、昨日の屍の言葉…




(サルオカタ…?
…さるお方って誰だ?)



(サタンかとも思ったけど…
…今さら俺を殺そうとする理由が思い当たらねぇし)





《あらゆる者があらゆる目的でお前を狙うだろう》




(…どっちにしろ、俺を目的に襲ってきたのは間違いないってことだな)



相手がサタンにしろ、人間にしろ結局目的は自分だろう



脳裏に魔障を受けて倒れた朴と、朴を助けるために自ら囮になって屍を押さえつけられていた真夜が過る



「くそっ…
何で直接俺に来ねーんだ…!」


何故、直接自分を襲わずに周りの人間や自分にとって一番巻き込みたくない人間を襲ったのか…




《私は大丈夫だよ》




最後に真夜のいつもの言葉が過った




「燐!」



その直後、逆さまのしえみの顔が目の前に現れる


驚きのあまり、燐は頭を上げた


すると鈍い音が鳴り、二人はとんでもない痛みに悶える



「きゅ…急に近ェーよ!!
アホウ!」

「燐こそ急に頭あげないでよバカァ!」


互いに頭を押さえながら怒鳴り合う二人



ぶつけた箇所が少し腫れてしまった



「…何してんの?」

「皆のお布団のシーツ干しに来たの!」



燐に答えると、しえみはニーを乗せたカゴを持って立ち上がる
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