青の長編

□召喚と試験と合格ともんじゃと
3ページ/29ページ






(……
寝つけなかった…)




翌日、廊下にある手洗い場…


そこで真夜は顔を洗っていた


実は、未だに希望称号が決まらず、悩んでいる内に朝を迎えてしまったのだ


昨日の件もあって、体は疲れているはずなのだが、眠れなかった


考えすぎた結果、そのまま一夜を過ごしてしまった




《宝の持ち腐れだな
せっかくの素質を台無しにしている
そんなことでは、いざという時、何も守れなくなるぞ》




「……
…しっかりしなきゃ…」


言い聞かせるように呟き、もう一度顔を洗う



「もう大丈夫なのか?」

「!」



すると隣から声が聞こえた


見ると、歯ブラシ道具と降魔剣を持った燐がいる


「おはよう、燐君
もう大丈夫だよ
魔障を受けてまだ時間が浅かったから、熱もすぐ下がったし…」

「そっか…」



真夜の言葉に燐は軽く安堵した



「……
おはよう」



そこで、後ろの階段から声を掛けられた


振り向くと、出雲が階段から降りてくる



「……
おももお
……」

「おはよう」




軽く挨拶を交わすと、出雲は真夜と燐の間に立つ



「いい?」

「?」




「昨日あたしが泣いたことは、絶対に誰にも言わないで!」

(?
泣いてた?)


出雲の言う事がわからず、真夜は首を傾げる


どうやら話の目的は燐のようだ


だが燐も話がわかっておらず、首を傾げる


「……
俺が?誰に言うんだよ」

「…いいから黙って約束して!!」


「一体なんの話…「アンタには関係ないわよっ!」
…はい、ごめんなさい」



訊ねてみたがその瞬間、出雲に怒鳴られた


(え゙〜!?
何だこの女…
こえ〜!)


「いっ、言わねーよ!
ウルセーな!!」



真夜は意味もわからず反省し、燐は動揺しながら怒鳴り返す


すると今度は何かを渡された


昨夜、燐が出雲に貸した服だ




「貸してくれて…
ありがと…
あんたが来なかったら、あたしも朴もどうなってたか…」



「そ…
そこは一応、感謝してるから…!!」




「あ…
あんたも、来てくれて…
ありがと…」


「……!」




耳まで真っ赤にしながら燐と真夜に礼を述べる出雲


いつもツンツンしていた出雲の意外性に真夜は、虚を突かれたようにきょとんとする



「スゲー
洗ってくれたのか…!
なんだよお前、いいやつだな!」

「!?」

(誤解しちゃったよ!)


洗ってまで返してくれるなんて、ちょっと嬉しい


燐は出雲の第一印象を改めるが…



「きっ汚かったから洗っただけ!」

「え…」



(やべ…
き…気をつけよ…)



顔を逸らす出雲にショックを受けた



彼女の照れ隠しだという事はもちろん知らない



そこで誰かが階段を登ってくる



「!
奥村先生…」


「おはよう」



それは朴の診断に来た雪男だった
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ