青の長編

□合宿と称号と友達と小さな勇気と
4ページ/16ページ





―――……




「夏休みまでそろそろ一か月半切りましたが
夏休み前には、今年度の候補生認定試験があります」


「候補生に上がると、より専門的な実戦訓練が待っているため、試験はそう容易くはありません」



「エスクワイヤ?」

「エクスワイアだよ」

「エクスワイア!?」


雪男の説明について行けず、候補生…エクスワイアの言い方を間違えつつしえみに正される燐


真夜は驚いたように小さく目を見開いた



雪男の説明は続く



「…そこで、来週から一週間
試験のための強化合宿を行います」


(合宿…!?)


「合宿参加するかしないかと…
取得希望“称号”をこの用紙に記入して、月曜までに提出してください…」



一人一人記入用紙が配られる



「マイマスター?
称号って…」



意味がわからず、燐は真夜に訊ねようとした


だが真夜は真剣に用紙を見つめている



「……!
え…!?
…なに…?」

「……」



視線に気付いたのか、真夜はハッとした顔でこちらを見る



《女とチャラチャラしとるからや》



勝呂の声が脳裏に過る


「やっぱいいや」



燐は前を向き直した


彼のめずらしい行為に軽く首を傾げる真夜だったが、そんな気に止めることもなく再び記入用紙を見る



(…昔、雪男君のを見た事があるけど…
私にも来たんだ…)



当時、候補生認定試験を前に必死に勉強していた雪男の姿を脳裏に浮かばせる


その際、父の獅郎に聞いた



(“称号”とは、祓魔師に必要な資格のことで…
騎士・竜騎士・手騎士・詠唱騎士・医工騎士の五種類の中、どれか一つでも“称号”を取得すれば祓魔師になれる)



(“称号”によって戦い方が全然違ってくる…)




(確か、雪男君は医工騎士と竜騎士の資格を持ってて…
竜騎士は、銃火器で戦う
騎士は刀剣で戦う…)




「…じゃあ、俺は騎士だな!」

「!」



ふと遠くから燐の声が聞こえた



「なんやかんや面倒見ええんやからなぁ坊はー」

「やかましい!!」

「そーいや、いっつも剣提げてはるね」

「うん」



見るとどうやら勝呂達と相談しながら用紙を記入しているらしい


すっかり彼等と馴染んだようだ




(よかった)


真夜は軽く安堵する


そして再び用紙を見て頭を悩ませた
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ