青の長編
□休日と庭と祖母と後悔と
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「いやー
どうもお待たせしました、真夜さん」
「おはようございます」
休日の朝…
真夜はメフィストに学園の門まで呼び出された
外で休日…とはいえ学校付近なので一応、制服で来た
メフィストは、いつもの格好でリムジンから姿を現し、いつかのように帽子を脱いで紳士らしく挨拶する
「朝早くにすみませんね」
「いえ、私がそうお願いしたので…」
「はて?
何かご予定でも?」
「はい
燐君と約束を…」
「……ほう」
真夜の言葉にメフィストは目を細める
だが決して笑いではない
「…あの…」
「…!
ああ、すみません
なら手短に済ませましょう
少し両手を出して頂けますかな?」
「…?
はい」
メフィストの言葉に首を傾げながらも真夜は素直に彼に両手を差し出す
「…アインス☆ツヴァイ☆ドライ!」
謎の呪文を唱え、指を鳴らす
すると真夜の両手はピンクの煙に包まれた
「え!?」
思わず真夜は目を丸くする
そして気が付けば、自分の両手は杖のようなものを持っていた
「…メフィストさん、マジック出来るんですか?」
「まぁ、それと似たようなものです
言ったでしょう?
趣味が合うかもしれないと☆」
軽くウインクするメフィスト
なんとなく星が見えたような気がした
「この杖は貴女に差し上げます
私からの個人的な入学祝いです☆」
「え…!?そんな…!
悪いですよ!理事長さんがそんな…」
「ですから“個人的”と言ったでしょう
それに貴女が受け取らなければその杖は…
今、この場で、私に、
へし折られることになります☆」
「……」
強調して、まるで有無を言わさぬように言われてしまい、真夜は沈黙せざるを得なくなった
「……
ありがとうございます」
「よろしい☆」
礼を述べるとメフィストは上機嫌に微笑んだ
「その杖は、対悪魔用のもので“降魔杖-コウマジョウ-”といいます」
「え?」
「それと、悪魔を引き寄せる貴女の力を抑える役目も持ってます
肌身離さず大切に持っていてください
…まぁ、それでも来る時は来ますがね」
「はぁ…」
「フリですがお手本をお見せしましょう」