青の長編

□入学と塾と兄弟と少女と
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「おはようございます、藤本 真夜さん」


「!
お、おはようございます…」



少し目を腫らした真夜に軽く笑いながら声を掛けるメフィスト


真夜は呆然とこちらを見ている燐を見る



「…ス、スカート短いと思うんだけど…
…へ、変…かな…?」

「…!
い、いや…」



顔を赤くする真夜に何故か恥ずかしくなって目を逸らす燐だったが…




「…て
うおおおーいい!!」



すぐさま我に返り、戸惑うがままメフィストの胸ぐらを掴んだ



「俺はお前の仲間にしろっつったんだぞ!
学校通いたいなんて言ってねぇ!!」


「シー…
聞こえますよ?」



戸惑う燐とは逆にメフィストは愉しそうに笑ってウィンクする



「『祓魔師になりたい』
というならば、まず学ばなければ!」



「当学園は全寮制です
一度入ったら、許可のない外出は禁止しています
当分、修道院には戻って来られませんよ」




「生まれ育った修道院に別れの挨拶は済みましたか?」




メフィストの問いを最後に三人はリムジンに乗る



窓から見えるは、育った修道院…





(俺と弟が…)




(十五年育った場所…)




(……
真夜とはじめて出会った場所…)




脳裏に修道院で過ごした日々が過った




しばらく帰れなくなる…


一応、三人一緒の学校に行くのだから別れる心配はないのだが…




(真夜と雪男と葬式からほとんどしゃべってない
雪男も真夜も聞かねーし…)



(ジジイが死んだ時の事…
俺の事…
一体どー言やいいんだ…
あ〜〜!
うまく話せる気がしねーよ…!)


燐は右隣で難しい本を読んでいる雪男を見つめる


「どうしたの、怖い顔して…」

「な
なんでもナイッス…!」

「?」



弟に話し掛けられ、咄嗟に顔を左に逸らす



すると今度はハンカチで遊んでいる真夜が見えた



(真夜…)




(俺が悪魔だって知ったら…
どう思うのかな…)




自分を嫌うだろうか?

それとも怖がるだろうか…?



…もしかすると、一番話しづらい相手なのかもしれない





だって…




「…!
燐君、見て見て!」



「…?」
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