青の長編

□入学と塾と兄弟と少女と
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―――……




「…スカート、短か…
しかもニーハイ…」



正十字学園出発の朝…


制服に着替えた真夜は全身鏡に映った己の姿に動揺していた


スカートが短すぎるのだ


ニーハイも履いてるとはいえ太ももが見えて、激しく動いたら下着が見えそうだ


…まぁ、一応スパッツも穿いたが…




「…行ってきます」




真夜は、写真立てに飾られた獅郎の写真に軽く挨拶を済ませてから、荷物を持って部屋を後にした




―――……




「やぁ…
晴れましたな」




「新たな門出に相応しい晴天だ…!」




同時刻、修道院の前にはすでに燐とメフィストがいた



メフィストは、晴れた青空を楽しそうに眺める


「…おい」




「お前についてって本当に大丈夫なんだろーな…」


(ピエロみてーな格好しやがって…)



だが燐は、文字通り“胡散臭い”メフィストに胸の内で悪態を吐きつつこの先の不安を隠せない


すると突然、背後からやけに派手なピンクのリムジンが突進するように近付いてきた



「うわ
アブネっ」



持ち前の身軽さで燐は咄嗟に車を避ける



(すっげー車…!
なげえ!
ピンクだピンク!!)


「それじゃあ、燐もよろしくお願いします
ファウストさん」


「おまかせください
修道院の運営も援助いたしますのでご安心を」



燐がリムジンに目を奪われている間にメフィストは獅郎の後を継いだ神父と握手を交わした



「あれ?
お前“メフィスト”って名前じゃなかったっけ?」


「実は私、表向き“ヨハン・ファウスト五世”の名で、名門私立正十字学園の理事長もしているのです」


「正十字学園…って、雪男と真夜の…」




メフィストの口から出た聞き覚えのある学校の名前に戸惑う燐だが…



「おはよう!」




すると聞き慣れた声



背後を見るとピカピカの制服を来た弟がいた


「雪男!?」


「ゴメン遅れて
びっくりしたよ
理事長さんが僕らの後見人になるんだってね
もしもの為に神父さんが頼んでたんだって…」




「真夜ちゃんもだけど、兄さんと同じ学校に通えるなんて思わなかった」



そう兄に微笑む雪男


さらに…



「…!
お、おはようございます…」

「!」




隠れていたのか雪男の背から真夜が顔を出した



彼女の制服姿に燐はギョッとした顔になる
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