青の長編

□父と悪魔と魔神と落胤と
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「りょ、料亭!?
俺が…!?
ム、ムリだろ!」


「なんでムリなんだ
…お前、料理得意じゃないか
ピッタリだろ」


「俺に…そんな
まともな仕事できるわけねーだろ
自分のことは自分でよく解ってんだ」



そう獅郎から目を逸らす燐だが…




「バカヤロウ!!
学歴ねぇくせに仕事えり好みしてんじゃねぇ!
俺には後見人として、お前らを一人前にする責任があるんだ!」




「本当に解ってるのか!?
いずれお前は修道院を出て、一人で生きてかなきゃなんねーんだぞ!!」


「…んなことッ」







「わかってるよ!!」

「わっ!?」



燐が声を荒げたのと、真夜が彼の後ろにあるストーブに近づいたのと同時にそれが爆発した



「だ、大丈夫か!?」


「ストーブが爆発しました……」


「あ〜
鍋が……」


「びっくりした」


「真夜ちゃん、怪我は!?
火傷してない!?」


「真夜!大丈夫か!?」


「だ、大丈夫…
びっくりしたけど…」


雪男が尻餅を着いた真夜に走り寄り、ハッとした燐が勢いよく椅子から立ち上がる




「………」



その三人の様子を獅郎が険しい表情で見ていた



「藤本神父」





「お客様が…」


「おう」



そこで他の修業者が耳打ちしてきた



「雪男
後で燐を手当てしてやれ」


「……
はい」





―――……






「チッ、クソジジイ…」


「まあまあ」



朝食が終わって、雪男は慣れた手つきで燐の治療を始めた


獅郎に悪態を吐く兄を宥めつつ、雪男の治療はテキバキと進む



「…雪男
お前いつ高校始まんの?」

「もうすぐ」


「…はーー
正十字学園て超名門なんだろ?
すんげーよな!
双子の兄として俺は鼻が高いね!」

「はは…」


「真夜も行くんだよな!?」



テーブルに座って雪男の治療を受ける燐は、食器を片付けている真夜を見る


「そうだよ」


「がんばれよ!
なんかあったら、すぐ駆けつけてやるからな!」


「…うん、ありがとう」



明るく笑う燐に真夜は微笑む



「僕は医者になりたいから……
ただ、そのために必死なんだ」


「お前ならぜってーなれるよ!」


「……
頑張るよ」
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