novel : two

□紡ぐ未来*ZXR
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――生ぎたい!!

 ゾロの頭の中であの時のロビンの言葉が反芻する。
 ロビンはクルーを守るために自ら死を選んだ。
 生を放棄した者こそ、闇に取り込まれ易い。
 だが、生を放棄したロビンは、闇に取り込まれることなく、無事に生還した。
 船長ルフィの成せる業が功を奏したのだ。
 逝き急いだロビン。死に急いだロビン。生を放棄したロビン。
 そのロビンが来年…と言ったのだ。
 それは、この船にいる、ということで。
 ここが、この船がロビンの安堵の場所ということで。
 そう想起し、ゾロは胸がほわっと温かくなった

「来年も一緒に見よう」

 こくり頷くロビン。
 約束だ。簡単そうで難しい約束。だが絶対に必ず、と視線で語る。
 徐にゾロは小指を目の前に差し出す。
 ロビンは問う表情を見せ、首を傾ける。

「約束っつえば指切りだろうが」

 そっぽを向きながら、ん、と更に小指を突き出すゾロ。
 その意図を組み、緩慢に小指を差し出すロビン。
 絡み合う小指が熱く、そこだけ燃えているような感覚に陥る。
 そのまま、小指を離さずに他の指までもを絡める。
 頬を朱に染め合う二人は、端からみれば幼く見えるだろう。
 見上げた夜空には星の河が流れ、所々流星が降り注いでいる。
 肉眼でも確認できるそれは、ロビンのように儚そうで、だがしっかりとそこに存在する。
 ゾロは夜空を眺めるロビンの横顔を見遣り、続けて絡め合う掌を見る。
 この手は二度と離さない。
 天と地がひっくり返ろうが槍が降ろうが。
 そう誓ったゾロの掌は無意識に力がこもり、繋いだ掌をぎゅっと握り締めた。
 ロビンもその意に同意し、握り返した。

 二人にしか分からない感情。
 二人で共有する約束。
 二人が歩み行く道筋。

 ここから、二人の未来が紡がれていく。

 緩慢に、だが確実に。









あとがき
 46巻によって、サニー号の詳細が明らかになりました。
 驚いたのは、展望台兼ジム。これ、剣華でしょうよね。
 天体に興味があるのってロビンちゃんぐらいでしょ。ジムだって身体鍛えるのってゾロだけだし。
 結果、このお部屋は剣華専用に決定致しました(ドーン)
 さっそく、この文が頭に浮かび、季節も上手いところ合致しましたので、アップの運びとなりました。

 文内で天の川は年に一度見えると書きましたが、そんなことはありませんのでご注意ください。話の流れで書いてしまいました。すみません。
 ネットで多少調べましたところ、天の川は年中見えると書かれていた方もいらっしゃいました(これもまた定かでは御座いませんが)。

 もう本当に嘘ばっかりですみません(ぺこぺこ)

Z「冬はオリオン座をロビンと一緒に見てェな」
T「そりゃ結構で。それまであのお部屋汗臭くしとくなかれ」

最後までお読みくださって有難う御座いました。

07.07.07
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