novel : two
□後悔値計測不能*ZXR
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ゾロは懸命だった。それでなくとも方向に疎い。街中に向かっているのだが、なぜか景色は住宅街。
だが、それにもめげずに二人を捜し回った。
いつの間にか、奇跡的にも、ゾロは街中に迷い込んでいた。
休む事など惜しむように捜し回った甲斐あってか、遠目に二人を確認出来た。
そっと近付き、後を追う。
声をかける勇気もなければ、このまま野放しにする気もない。
結果、尾行という人間的にどうなのよ? と、ウソップ辺りから突っ込みを貰いそうな、そんな最低な行動を取る他なかった。
端から見ると、長身な二人だけあってお似合いだと思う。
サンジはかっちりした黒のスーツ。ロビンは胸元が大きく開いたカットソーに、裾に小さな花の刺繍が施されている、ミニのフレアスカート。
肩を並べて歩けば、恋人同士以外には絶対見れないだろう。
それに対して俺は…。と自分の容姿を見遣るゾロ。
親父臭いシャツに、緑の腹巻き。その出で立ちの俺と華麗なロビン。一緒に歩けば…美女に野獣。否、猛獣、魔獣か。
とにかく、おれとロビンとでは、全く似合わない。
似合う、似合わない、など考えずに今までいた。認識すると、自分とロビンでは不釣り合いに他ならない。
ゾロはそこでもまた、後悔をした。合計で百五十握りくらいか。
とにかく、こんな格好のおれと、ロビンはよく文句も言わずに並んで歩いてくれた。益々ロビンが愛おしく思えたゾロだった。
そうこうしている内に、仲良く歩くサンジとロビンは、アクセサリーの店へと入っていった。
ゾロは怪しまれぬよう注意し、入り口付近のショーケースを覗き込むフリをした。
会話が聞こえる。
「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか?」
「いや、見てるだけなんだ。その指輪、素敵だと思わない? ロビンちゃん」
「そうね…でもこちらの方が似合うのでは?」
「婚約指輪をお探しでしょうか? これなどお似合いかと。合わせてみましょうか?」
「婚約指輪ーーー!?」
ヤベッと慌て口を覆う。大丈夫だ。尾行は気付かれていない。
婚約かよ。あの二人はそれほどまでにお似合いなのか。
言われてみれば、雰囲気は似てるかも知れない。落ち着いているし、服装も示し合わせたようにしっくりきている。
はぁ。壁に寄りかかり、ゾロは溜め息を吐いた。ゾロの後悔値はいつの間にか二百握り近くになっていた。
ウインドーショッピングを楽しむ二人。
未だに尾行を続けるゾロは、虚しさが身体を蝕んでいた。
どこの店でも、お似合いの恋人同士と言われ、ゾロの目にも二人は最早恋人以外に考えられない。
手を絡め、密着し合う姿までもが安易に想像できる。
ゾロは立ち止まる。虚しさ、悲しさ、寂しさ、怒り、はたまた愛しさ、羨ましさ。
色々な感情が、内から沸々と沸き上がる。頭を振っても振っても、感情たちはゾロから去ってはくれない。
遠ざかる二人を虚ろな目で見るのがやっとのゾロ。
この時点で、後悔値は計測不能。
続