novel : two

□a four leaves clover*ZXR
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 春島の春。春うらら。
 その気候のせいか、停泊中の島はのんびりとしていた。
 留守番はしなくても大丈夫そうね、とナミは判断した。
 だが、特にする事がないゾロは、眠るついでに留守番を買って出た。




 ぽかぽかとした陽気に、ゾロは眠気を誘われていた。
 うつらうつらしていると、上陸していたはずのチョッパーが乗船し、何やらパタパタと慌ている。
 手に何かを持っているようで、大切に両手で囲っている。

「おいチョッパー、何してんだ」

 くいと、チョッパーはゾロの方を向く。

「あれゾロいたのか」
「いたのかってお前…」

 項垂れるゾロ。存外、邪険な扱いにがくりとくる。

「まあいい。そんな事より、お前何持ってんだ」
「これか? これはな…」

 そういうと、チョッパーは大事そうに囲っていた両手を、少し開いて見せた。
 そこには、四つの葉がついた草があった。

「これはな、四つ葉のクローバーだ。これを持っていると幸せになれるって言い伝えがあるんだ」

 得意満面の表情で説明するチョッパー。ゾロはふんふんと相槌を打ちながら耳を傾けている。

「だからな、俺押し花にしておこうと思ってるんだ!!」

 エヘと笑うチョッパーの頭をわしわしと撫でるゾロ。

「なあチョッパー、それどこで手に入れた?」

 あそこだ、と指差したのは船から見える丘だ。

「あそこならゾロも迷わず行けるな」

 一言多いんだよ、と、ゾロは苦笑する。

「チョッパー留守番頼めるか? もし何かあったら大声で叫べよ」
「大丈夫だぞ。何かあったらこれになって闘うんだ」

 と言って人型になる。
 よし頼もしいな、と、ゾロはチョッパーの肩をポンと叩き、さっそく下船した。



 丘までは一直線。まさか迷うはずもなく、無事に着いたゾロは、どかっと胡座を掻き、身を屈めた。
 葉を一枚一枚丁寧に見る。大きな指で草を掻き分け、目当ての四つ葉を探した。



 日も暮れ始め、ふうと息を吐く。春島の春とはいえ、宵闇が迫ると肌寒くなる。
 だがゾロは、辺りが闇夜に飲み込まれるまで、手を休める事はなかった。
 これか!? と思い、葉の数を数えるが、三枚の葉の内の一枚が二つに切れていただけであった。
 チッ、ぬか喜びさせやがって、とゾロはあてのない怒りを散らしていた。

 とうとう宵の口、ゾロは大の字になり、夜空を眺めた。

「見つかんなかったな…。幸せを掴むだけあって難しいんだな」
「そうね、四つ葉の確率は10万分の1よ」









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