novel : two

□泪*ZXR
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 また、また私は生きながらえてしまった。

 泪は出ない。
 だって、私は20年間もの間、光が届かない闇にいたから。
 その20年で、私の泪は枯れ果てた。
 8歳で既に賞金首。そこから私の生の苦悩が始まった。
 最初の内は子供心に泣いてばかりだった。
 その内に、私の瞳には暗しか映さなくなり、次第に光はほぼ映さなくなった。
 別にどうでも良かった。何も考えられなかったから。何も考えなくて良かったから。

 その私に仲間と呼べるクルーが現れた。
 暗しか映す事のなかった瞳に、生を吹き込んでくれたクルーたち。
 アラバスタの死闘が脳裏を掠める。
 あの出来事さえも仲間と出会うためのシナリオにさえ思える。

 そして、私に仲間が出来た。それは、私の運命さえも変えるような。
 そして、私は生まれ変われる気さえしていたのだ。
 息を吹き返した私。尖ったナイフが丸まっていくような。

 そんな私に終止符を打つ時がきた。
 だから私は海列車に乗った。
 大好きな仲間に牙が向けられ、黙っている事が出来なかった。
 だから死のうと。もう現世に未練はなかった。
 ただ一つを除いては。

 唯一の、私の未練。
 それは未来の大剣豪、ゾロとの約束。
 将来、お互いの夢を見届ける約束をした。ゾロにとっては小さく、何でもない約束だったろう。
 でも、私にとっては、生きる目途にもなった、淡い約束。
 その約束を果たせないまま、ゾロの元を去る事は、身を引き裂かれる思いだった。
 でも、夢を持って輝いている仲間を、ゾロを、私の闇に引き込む事は絶対にしたくなかった。してはいけない。するつもりはこれっぽっちもなかった。
 だから私は海列車に乗った。
 まさか、まさか仲間が、ゾロが、私を奪いに追いかけてきてくれるなど、誰が予想しただろうか。









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