novel : one
□船上で昼食を*ZXR
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島に停泊して二日目。厳正なるくじ引きの結果、ロビンが留守番する事になった。
「ロビンちゃん、お昼までに帰ってこられないかもしれないから、何か作っておくね。リクエストはございますか?」
「有難うコックさん。でも大丈夫よ。冷蔵庫の食材を使ってもいいのなら、自分で作って食べるわ。だから上陸を楽しんで」
「なんとお優しいお言葉! 冷蔵庫内の食材は、好きに使って! 寧ろ全て使いきってくれた方が助かるよ。これから買い出ししてくるからさ」
「了解したわ。それじゃ、楽しんできて」
サンジはくねくねしながら、目とタバコの煙をハートにしている。全く器用な男だと、ロビンは変なところで感心した。
「…お前一人で大丈夫か? 何なら俺も…」
最後に声を掛けたのは、緑頭の剣士、ゾロだった。
「上陸出きるときはしておいて。今度はいつになるか分からないし。私なら大丈夫よ。能力者だし」
そういう意味ではなく、ゾロはロビンが寂しいのではないかと心配したのだ。
ロビンが寂しいと言えば、言ってくれれば残るつもりでいた。しかし、そう言われたら強くは言えない。
「そうか。俺の用なんて、たかがしれてる。すぐ帰ってくっから、大人しくしてろよ」
「分かったわ。楽しんできて」
ロビンは自分を除く6人が下船するのを微笑みながら見送った。
さて、本でも読もうかしら、と、甲板にイスを持ち出した。
簡易テーブルの上にコーヒーを置き、一息ついて文字の世界へ旅立っていった。
ふと見上げると、太陽が真上まで昇っていた。ロビンはかなりのめり込んでいたようだ。気が付けば正午を過ぎようとしている。
そうと分かると、お腹が空いているのに気が付いた。
ロビンはキッチンへ向かい、冷蔵庫の中を調べた。
―――色々な野菜に、ベーコンやハムが数切れ。鶏肉が少々。ウインナーもあるわ。パンは残っていたかしら?
シンクの上の篭を見ると、コッペパンが四つある。
―――ポトフとホットドッグが作れるわね。あとレタスとトマトがあるから、サラダも。
少し大きめの寸胴鍋にポトフの材料を切って入れ、煮込む。
煮込んでいる間にも本を読む。先程読んでいた内容の続きが気になっているのだ。
膨大な活字を身に染み込ませる。ロビンは本当に本が好きだった。
読む本は、考古学書ばかりではなく、一般的な書物も。本なら何でもござれだ。
そしてまた文字にのめり込んでいく。
いい匂いが漂ってきてハッと我にかえる。急いでスープを確認するが、ちょうどいい出来映えだ。
味見をしてみるが、なかなか野菜の旨味が出て美味しい。味を整え、仕上げる。
「せっかく作ったこのスープ。剣士さんにも…ゾロにも食べてもらいたかった」
「おう、食わせろ。腹減った」
ビクッと肩を震わせ、ロビンは声が聞こえた方を向いた。
―――まさか…?
腕を組み、キッチンの入り口、右横の壁にもたれ掛かるゾロが目に入った。
ロビンと目が合うと、ニヤリと口元を上げながら、イスにドカッと座った。
「メシメシ! 腹減った」
「…」
呆然と立ち尽くすロビンを、ゾロは可愛いと素直に思った。ロビンの頬が桜色に染まっている。
何よりも、こんな表情をさせられるのは、見られるのは俺だけだ。そう思うと優越感を感じる。
「おい、メシ」
ハッと我にかえるロビン。
「…今作るわね」
顔が赤いのも気にせず、ロビンは準備に取り掛かった。
フライパンに火を付ける。頃合いを見計らってウインナーを焼く。
コッペパンをオーブンに入れ焼き色を付け、切り込みを入れる。そこにバターを塗っておく。
レタス、トマトはザッと水洗いをし、ザルに上げて水気を切る。
バターを塗ったコッペパンに、千切ったレタスを敷き、焼き上がったウインナーを挟む。上からケチャップ、マスタードをかけてゾロの待つテーブルへ。
サラダをボウルに盛り付け、スープをお皿によそった。
「さあどうぞ。お口に合うか分からないけど」
「いただきます」
続