novel : one

□月、酒、華*ZXR
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 上陸二日目。久々の島停泊で、皆心浮きだっていた。
 船長の一声で、名もない宴が始まった。甲板に座り、各々飲み食いに忙しい。
 俺はひたすら飲んでいた。ナミが買ってきた高価な酒を、半ば奪い取って飲んでいた。
 ふとロビンに視線を移した。
 今日仕入れたんだ、と、目をハートにし、くねくねしながら、エロ眉毛がロビンに酒を注いでいる。
 あいつはそんなに酒に強くねェ。それを知ってる筈のエロコックが異様に酒を勧めている。それが気に入らねェ。
 ロビンもロビンだ。顔を桜色に染め、コックに酌をしてもらってやがる。ああ全くもって気に入らねェ。

「コックさん、もう飲めないわ」
「いや〜ロビンちゃん、夜は長いぜ。ささっ、もうちょいイケるでしょ?」

 チラッと俺と目が合う。声に出さずに口の動きだけで、もう飲むなと伝える。
 フイッと顔を逸らしやがった。一体どうい事だ?

「ちょっとゾロ、それ私に返してよ。私が買ったお酒なのに…」
「ああ、悪ぃ」
「そんでねゾロ。 …ちょっと人の話聞いてんの?」
悪ぃナミ、お前の話は耳に入らねェ。

「ロビンちゃん、美味しいでしょ? ロビンちゃんのために買ってきたんだよ?」
「そうなの? 本当だったら嬉しいわ」
「本当だよ〜〜」

チッ、ロビンの奴何だってんだ。気になって酒の味が分からねェ。寧ろ不味く感じる。

「ねぇ、ロビンちゃん。街の外れに花畑を見つけたんだ。明日一緒に行こうよ」
「お花畑?」
「そう。ね、行こうよ」
「素敵ね。お花畑見てみたいわ」
「それじゃ決まりだね!?」
「でもコックさん、私なんかでいいのかしら?」
「ロビンちゃんだからいいんだよ〜〜。ロビンちゃんが望むのであれば、仲間以上の関係になる心構えだよ?」

 !!
手を…手を握りやがった! こんの年中エロコックがっ!
ロビンもロビンだ! 俺以外に、そんな顔見せるな! もう我慢ならねェ!

「駄目だ。コイツは明日は遺跡探索だ」
「はぁ〜〜? 何勝手に決めてんだよ、マリモくん。あっち行ってろ、この飲んべえが」

 同意しないロビンに腹が立ち、あからさまに舌打ちをし、男部屋へ向かった。
 全然酔わねェ。全然酔えねェ…!
 ハンモックに揺られて眠気が誘うのを待つ。が、酔えねェ状態なのに、そんなに都合よく眠気が襲うなんてあり得ねェ。
 どのくらいそのままだったろうか。甲板も静けさを取り戻しているようだ。
 ロビンはどうしただろうか?
 不意に悪い考えが頭を過る。相手はラブコック。泥酔したロビン。何か起こらねェとも限らねェ…! 迂濶だった。
 飛び起きて甲板に出る。ナミはチョッパーに絡んで既に寝入っている。ウソップとルフィは腹を出しながら鼾の合唱大会。
 ロビンとコックの姿が見えない。焦ってる。柄じゃねェが手に汗が滲んでいる。
 キッチンか?! 扉を乱暴に開けるとそこには…
 コックが上半身裸で、大の字で鼾をかいている。しかし、ロビンの姿はない。一先ず安心…じゃねェだろ。
 あの女、どこ行きやがった!? 女部屋も覗いたが姿はなかった。倉庫、風呂にも居ず、もしかしたら…と思い、船尾へ向かう。
 案の定、ロビンは壁に凭れながら、コックが無理矢理飲ませていた酒をこくりと飲んでいた。
 姿を確認し、多少の安堵感を得る。しかし、安堵したからか、余計に向かっ腹が立ってきた。

「おい、てめェどういうつもりだ」
「…」
「黙ってねェで、弁解出来るならしてみろ」

 フイッと顔を逸らされ怒りが益々沸き起こる。

「エロコックに言い寄られてそんなに嬉しいか」

 飲めねェくせに、いつまでも飲んでんじゃねェと酒をとっかえす。

「…あなたばかりに怒られる筋合いはないわ。私の事なんて知ろうともしてくれないくせに」
「何がだ、何の話をしている?」
「私は飲めないんじゃない。飲まないだけよ。今までどれだけ飲んでも一度も酔った事などない。知らなかったでしょうね。
 それにね、あなたより年上だけれど、感情は年上も年下もないわ。私よりも先に、異性と仲良くお酒を飲んでいたのはどこのどなたかしら?
 私が何も感じないと思っているのでしょう。でも、そんな出来た人間ではないわ。私だって人並みの感情はあるのよ」









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