novel : one

□痕〜証〜*ZXR
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 お前が付けた印。
 俺がお前の所有物という証。
 ただの血流の集まりと言えば、何の意味もねェが、付けたのがあいつだから、それだけで意味を成す。



「ね、痕をつけても?」
「あ? 子供みてェだな。」
「あなたの前では…ね。ねぇ、いいでしょう?」
「ぷッ。恥ずかしいから止めてくれ」

 笑ってそうは答えたが、本音は違う。
 証を付けられたくて、ウズウズしている。


 明くる日もお前はせがむ。痕を残したい…と。
 だから本音が出ちまった。

「俺にも証をつけさせろ」
 と。



 俺がお前を、この上なく愛していることがバレちまったか?




 互いに証を付け合った。
 優越感に浸るな。それは俺がする事だ。
 鏡に自身を写し、きつく残る証を見てる。嬉しいとばかりに微笑むお前を、俺は愛しいと思う。
 お前の身体に刻んだ俺の証。まるで真っ白な雪の上に落とした、真っ赤な薔薇みてェだ。



 ふと思う。思考がフル回転し出す。
 お前の傍らにいるのが、この俺でいいのか? と。
 俺はお前に相応しいのか? と。


 ポツリとそう洩らすと、お前は当たり前だと言う。
 お前の口からその言葉を聞いても、不安は拭いされねェ。



 だから、俺はお前に痕を付ける。

 証という名の鎖を。









あとがき

 シリアスになってしまいました。弱気なゾロです。
 キスマークって、自分の物っていう感じがします。

Z「キスマーク、俺ァあいつの全身に付けてェ」
T「ん、でもあまりきつく吸わないでよ?あんたが力一杯吸ったら、ロビンちゃんの皮膚が千切れちゃう!!」



最後までお読みくださって有難う御座いました。


07.04.29

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