novel : one

□触れたい*ZXR
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 パチンパチン
 爪を切る俺の傍らに、小難しい本を読むお前が居る。何気無い日常。だが、この上ない至福。

「痛ェッ!」
「剣士さん、どうしたの?」

 深爪した俺を心配するお前。

「…切りすぎた。…痛ェ」
「ん、もう不器用ね。貸してごらんなさい」

 パチンパチン
 俺の爪を切るお前。指と指が触れ合っている。指先が柄にもなく緊張する。
 なんか、良くねェか? これってスゲェ心地良い。
 お前の指先、綺麗だな。真っ白い肌の色に、ほんのり赤みがかっててよ。しかも、細くて長ェし。爪もキラキラ光ってねェか? マニキュアしたら、すごく映えるんだろうな。

「はい、終わったわ」
「お、おう。…ありがとな」

 触れ合っていた指先が離れる。もう少し絡めていたくて、だが、そんなことは決して告げられない。
 そういう、俺の心の葛藤を知っているかのように、お前はさらりと言ってのける。

「また切ってあげるわ」

 そう言い残し、本を手に俺の前から立ち去る。
 きっと俺だけが焦っている。お前に触れたくて。指先だけじゃない。漆黒のその髪にも、透き通る硝子玉のような瞳を隠す瞼にも、真っ赤に熟している唇にも、白く挑発するかのような首筋にも。
 すべてだ。お前のすべてに触れたい。
 滑稽だな。これ程にお前に嵌まるなんてよ。だがこれ以上、自分の願望に嘘はつけない。


 だから俺は、理由を付けてお前に触れる。



あとがき

 この触れ具合、どうでしょうか?
 指先が触れただけで、かなり妄想を膨らますゾロは、やっぱりロビンちゃんが大好きなんですね。


Z「指先だけじゃつまらねェな」
T「そうだよね、そうだよね! 色々触りたいよね!」
Z「…触りたいんじゃねェ。触れてェんだ」
T「…オーケー、ゾロ! そういうことにしといてあげる。ヒヒ」

最後までお読み下さってありがとうございました。

07.04.19

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