novel : one
□お留守番*ZXR
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久しぶりの上陸。気候は上々。厳選なるくじの結果、今日の船番は私。各々、心を躍らせて下船した。
剣士さんも残ってくれるのかと、淡い期待を胸に抱いていたのだけど、懐紙がないから…と、下船してしまった。ちょっぴり寂しい。
けど、最後に下船した剣士さんが、「即行で帰ってくる。だから、大人しくしてろよ」と言って、おでこにキスをしてくれた。だから、私は約束通り大人しくしている。
甲板に出て、お気に入りの本を読む。片手には、豆から挽いた、コックさん特製のブレンドコーヒー。何だかこれだけでも役得ね。
「それにしても…。やはり暇ね。」
小さく呟き、大きく伸びをする。本当にいい陽気。空の雲が、小気味よく流れていく。その様を眺める内に、私の瞼がくっつきそうになる。
剣士さんみたく横になってみようかな。と、好奇心が湧いてくる。
甲板に大の字に寝てみる。何だか気持ちがいい。ふふ。このまま寝ていたら、皆驚くかしら。などと思っている内に、私の意識は私の中に旅立っていった。
「…い、……おい。ロビン? ロビン、寝てんのか?」
…剣士さん帰って来たのね。約束通り一番に帰ってきてくれたのね。それだけで嬉しい。
眼を開けようとしたその瞬間、身体に電流が走った。彼が私の真横に寝そべり、彼の指が前髪を触っているから。
ああ…なんて気持ちがいいのだろう。ずっとこのままでいたい…。
今度こそ、眼を開けようとすると、眼の前が影になりうっすらと暗くなった。ドキリとした。彼が覆い被さってる。次の瞬間、私の心臓が早打ちになる。
彼の唇が私のそれと重なったから。角度を変えながら、長い長い口付けをする。ああ、空寝しているのがバレちゃう。
「んだ、やっぱ起きてんじゃねェか」
そう言われても、恥ずかしくて眼なんか開けられない。
「おい、いい加減起きろ。…じゃねェともっと過激なことするぞ」
…それでもいいわと思ってしまった。けどそれは伝えない。
「あら、帰ってきてたの?」
「よく言うぜ」
「ふふ。こんな風に起こされるなら、一人のお留守番もいいわ」
彼の口許が上がる。それだけで十分。
そして私たちは、そのままの姿でたわいない話をする。
こんな時間が私は大好き。
あとがき
真横に寝そべるゾロ。右肘を付き、頭を乗せて左手でロビンちゃんの前髪を触る……。
私的メロリンです〜♪ 妄想が妄想を呼びます〜♪
因みに、ゾロはなぜ一人で帰ってこれたの? という疑問にお答えします。一緒に行ったクルーに、船が見える所まで案内してもらったのでした。
絶対一人じゃ帰ってこれないもんね。
Z「…今度は二人で留守番してェ」
T「オーケー、ゾロ!!」
最後までお読み下さってありがとうございました。
07.04.16