novel : one

□苺*ZXR
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 今日のクソコック特製おやつは、いかにも甘そうな生クリームを纏った苺ケーキか。俺は甘いのは苦手だ。
 チラリと前に座るロビンを見る。苺をわざわざ避けて、ケーキ本体を食っている…。
 ……何かのまじないか?
 その食い方が、大いに気になり、俺の食う手が止まる。ふむ、ケーキとケーキの間に挟まっている苺まで、脇に寄せやがった。
 …マジ、何かの儀式かよ、おい。
 穴があく勢いで見ていたせいか、ロビンが俺を見る。

「なあに? 剣士さん。何見てるの?」
「…いや、何でもねェが…」

 そう言うと、ロビンは俺の視線を追い、ああこれ? とフォークで苺を転がす。

「…ふふ。苺、大好きなの。だから食べないで取っておいて、最後に食べるの」

 子供っぽいわね。と、ロビンは顔を赤らめた。その顔が真っ赤に熟した苺のようで、俺はそれから眼を逸らせなかった。いや、逸らしたくなかったというのが正直か。

「やるよ」

 俺は、自分の苺を穿り、ロビンの皿に置いた。眼を真ん丸く見開き、ロビンは嬉しそうにありがとうと言った。そんな顔されると、俺の方が赤くなっちまうだろうが。
 しかし、そんなに苺ってェのはうめェのか? ケーキの真上に陣取る、真ん丸の苺を頬張ろうとした瞬間、ロビンと眼が合う。
 あ? 何だ? その潤んだ眼は? 何だ? その半開きの妖艶な口許は? 何なんだよ? ロビンの視線を追うと、その先には…言わずもがな俺の手にある苺。少し焦った俺…阿呆か。

「…食うか?」
「…いいの?」

 見れば、ロビンの皿は見事に完食、何も無かった。ハァと溜め息を吐く。
 しかし、当の本人はどうだ? 潤んだ眼を閉じ、妖艶な口許はさっきよりも開いてやがる。
 …これは…もしかしたら、もしかするよな? …食べさせろ、ということか?
 畜生、何だこの美味しいシチュエーションは? 苺様々だな、こりゃ。

 そうして、俺にとっては悦楽になった、おやつの時間は終了した。



「おい、コック。苺は余ってねェのか?」
「あー? 余ってるが、何でだ?」


「…んじゃ、明日の特製おやつも苺で頼むぜ」




あとがき

 ロビンちゃんの好みは知りましぇん^^; 苺は嘘っぱちなので、ご注意ください。
 最後のゾロの言葉、分かりますか? 明日も苺のおやつだったら、今日みたくロビンちゃんにあげられる…というゾロの想いです。
 分かり難くて申し訳ない^^;
 あと、ケーキ本体と表現しましたが、ゾロはスポンジなんて言葉知らないだろうなと思いまして。
 これまた分かり難くて申し訳ないです。

Z「…別に苺で釣ろうとは思っちゃいねェが」
T「いやいや、苺でまたイチャイチャ…狙ってんでしょが」
Z「…うるせぇ」

最後までお読みくださって有難う御座いました。


07.04.17

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