novel : one
□畝る感情*ZXR
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「剣士さん、なぜ此処にいるの」
「いちゃ悪ぃのかよ?」
「………」
それきりこいつは口を開かなかった。
さも迷惑そうな顔すんな、あほ。
いい陽気の昼下がり。いつもはトレーニングか昼寝をしている俺が、キッチンに居ること自体滑稽だ。
――――俺は苛ついている。
昨夜、俺は見張り台に居た。いつもと同じ漆黒の闇。畝る波間に漂うのは空虚。
キィ……
音の鳴る方へ眼を向けると、其処には漆黒の闇を纏った女がいた。キッチンへ消えていく。その後すぐ、待ち合わせたかのように、金髪の男がキッチンに消える。
身体の赤い体液が、逆流する。気が付くと、握っていた拳に痛みを覚えた。爪が掌を破り、赤い体液が滲んでいる。俺はその様を他人事のように眺めた。
この感覚―――――うざってぇ。胸がチリチリし、俺が俺でなくなる。
あいつらが何をしてるか―――それを問い質すなんて、野暮な考えはねぇ。
俺は、突っ立ったまんま、目の前にある闇に溶け込もうとしていた。
それからは覚えちゃいねぇ。気が付いたら、闇が終りを告げ、辺りが薄らと白みがかっていた。
あいつが、いたたまれない様にキッチンから姿を消した後、邪念を振り払うように、俺はトレーニングを続けた。
ふと近付く足音を聞く。しかし、気付きながらも、手を休めずに動かした。
「おい、マリモ」
「…………」
大人気ねぇのは十分承知。俺は黙りを決め込む。
「おぅ、一人前に無視かよ。
てめぇはよ、何を考えてんだ? あ?」
「……てめぇこそ何を考えてやがる」
俺はクソコツクの顔を見ずに返答した。
「てめぇな、俺が聞いてんだよっ! こんのクソ緑が!」
「……意味が分からねぇな」
「ハァ。これだから筋肉バカは…。
……あのなぁマリモ。
お前ェはロビンちゃんのことをどう思ってんだよ」
俺は、不意に投げられた言葉に反応出来ず、後退さった。
「どうって……てめぇに関係ねぇだろ」
「関係ねぇじゃねぇ。
……昨夜な、ロビンちゃんに相談されてよ。
……お前ぇの眼が怖ェんだとよ」
!!!
「表面では苦笑いだったがよ、ありゃ心で泣いてるぜ」
「……」
「いいか、よく聞け。
テメェ、ロビンちゃんに謝れ。でねぇと、一生酒禁止な」
「それとこれとはっ…!!」
「違うけどよ、其処まで言わねぇとお前ェは動かねぇだろ?」
「……」
「分かったか?」
「……分かった。……悪ぃな」
はっ。借だな。とコックはキッチンへ歩いていった。
ホッとした。何故ホッとしたかは……俺自身よく分かっている。
認めちまえ。俺はあいつに惚れてるということを。もう逃げるな。自分に正直になりやがれ。
後はもう………堕ちるだけだ。
あとがき
ゾロもロビンちゃんも擦れ違い過ぎ。
……しかし、ロビンちゃんはそんなことで悩まないだろ? 他人に相談なんかしないだろ? 的なことは言わないでくださいまし(--;)
ツクヨミ、十分程理解しております(泣)
Z「…いや、あいつは強いくせに弱いからな。」
T「ゾロに慰めて貰うなんて…(号泣)」
Z「泣くな!(激怒)」
T「ハイィィィ!す゛み゛ま゛せ゛ん゛て゛し゛た゛(泣)」
最後まで読んでくださって有難う御座いました。
07.04.16