novel : one

□夕暮れ*ZXR
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 砂浜に二人の足跡。ここは無人島。何もない孤島。情報によると、ログが溜まるのは一日程度だ。何もなさそうだが、真水くらいは有るでしょうと言う、航海士ナミの一声で、上陸が決定した。先程真水汲みは終え、ログが溜まる残り時間を、各々が好きな事をして過ごしていた。
 本を読もうかと思っていたロビンに、珍しいことがあるものだ、寝太郎ゾロが、散歩でもしないかとロビンを誘った。ロビンは行かない筈がないわ。と、頬を桜色に染めた。
 だんだんと夕暮れを迎える空を、ロビンは歩く足を止め眺めていた。ゾロはロビンに問い掛けた。
「いつも空を見てるな。夕暮れの空が好きか?」
「そうね、好きよ」
 でもね、空はいつ見ても好きよ。心を癒してくれるから。と、付け足した。その時のロビンの顔は、今にも涙が零れそうな微笑みだった。
「どうした、なぜそんな顔をする?」
「なぜかしら。…昔の事を思い出すからかしらね」
 ゾロは、過去のロビンを知らない。聞いても答えないだろうし、ロビンから話してくれるのを待っているのだ。今はまだその時期ではないのだろう。
「今、一番好きな空は、迷わないで言えるわ。それはね、剣士さんの傍で見る空よ。」
 それが、曇り空であれ、雨空であれ。そうロビンは少し照れながら言った。
 ゾロは、その告白とも取れる言葉を聞き、ロビンの左手首を掴み引寄せた。
 我慢が出来なかった。ロビンの唇に、自分の唇を押し付けた。ロビンは少し驚いたようだが、直ぐに眼を閉じた。
 柔らかく、上唇を啄む。そして、情熱的に舌を絡め合う。お互いがお互いの気持ちを確かめ合う。舌が生き物のように蠢き、お互いを欲している。
 そんな長い長い口づけに、夕陽が恥ずかしそうに地平線へ隠れようとしていた。
 ロビンが居れば、もう何も要らない……そう強く思うゾロだった。



あとがき

舌を入れてのキス。
大人な二人です。
二人は、散歩が似合うなと。
時間の流れ方が一緒っぽく感じられ、いや、時間は誰隔てなく同じですが(笑)、感覚といいますか、感性といいますか…がね。

Z「難しいのはよく分からん。」
T「ん。そうだね、深くは考えないようにしよう!」

最後までお読み下ってありがとうございました(^^)


07.04.10

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