novel : one

□約束*ZXR
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 漆黒の闇が広がる。日付が変わって随分経つ。
 見張り台に居るゾロは、水平線を見ていた。
 あの地平線の先には何があるのか。そんなことを考えていた。
「今日も問題ねぇな。……酒でも飲むか」
 そう思いキッチンに眼をやる。灯りはもう消え、静寂にある。
 梯子を降りかけたその時、船尾に影が見えた。念のため、柄に左手を添える。 気配を消し、船尾を覗くと、其処に居たのはロビンだった。
 心臓が高鳴る感覚に、ゾロは苦笑するしかなかった。

 ロビンはじっと海を見ている。ゾロは声を掛けるのを躊躇していた。
 しかし、ロビンが吸い込まれそうに海を覗く姿が異様に思え、ゾロは咄嗟に声を掛けた。

「おい」
 ロビンはその声に驚き、ビクッと身体を振るわした。
「…剣士さん」
「何してやがる」
「いえ…何も」
「んじゃ、なぜ気配を消してる?」
「……………」
「………話してみろよ。話せば気が楽になることもあるぜ?」
 ゾロは、ロビンの真横にドカッと胡座をかいた。いつになく優しく、いつになく真剣だった。
 そのゾロの表情がロビンを安心させたのかもしれない。ロビンはポツリポツリと昔の話を切り出した。
 故郷オハラのこと、闇に生きていたあの頃のこと。
 ゾロは相槌を打ちながら、耳を傾けた。
 話終える頃には、ロビンの表情も穏やかになっていた。

「お前、今いい顔してるぞ」
「えっ?」
「過去なんざ、誰も変えられねぇからな。だからこそ、今が大切なんじゃねぇのか?」
「………本当にその通りだわ。話を聞いてくれてありがとう。すっきりしたわ」
「………いや、大したことはしてねぇ。礼なんて言うな」
「ふふ。謙遜ね。いいの。自己満足よ。でも…剣士さんに諭されるとは…ね」
「…なんだよ。柄じゃぁねぇってか」
「ふふ。ご想像にお任せするわ」
「ちっ、今後は聞いてやんねぇぞ?」
「ダメよ、それは困るわ。今後も私を導いて」
 ロビンは真っ直ぐにゾロの眼を射るように見る。


 ……まずい。まずいぞ、俺。この女に嵌まりそうだ。唾をごくりと飲む。
 それを顔に出すまいと、ロビンに背を向けた。

「ああ。分かっている。お前をいつでも見ていてやる」
「約束ね」
「約束だ」



 この女の末を見守りたい……そう思うゾロだった。




あとがき

ちょっと甘さ控え目です。
ゾロはロビンちゃんのことなら、小さいことでもきになるのです♪

T「ゾロ、ちゃんとロビンちゃんを見守っててよ?」
Z「てめぇに言われなくても………」
T「あぁ〜お熱いこって♪」
Z「〜〜〜〜っ」

最後までお読み下さって、ありがとうございました(^^)

07.04.03

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