novel : one

□距離感*ZXR
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 あの女が好きかもしれない。そう自覚したのはいつだったか。
 そう認識すると心の枷が外れ、気が楽になった。

 しかし困った事がある。認識すればする程、眼が女を無意識に追いかける。
 気が付くと眼が合う。慌てて逸らす。

 ―ちっ、何してんだ俺。

 トレーニングに集中しようとしても身に入らないので、寝転がり眠気が誘うのを待った。

「ロビンちゃん、何読んでるの?」

 ……クソコックか…。
 ロビンに何の用だ? 耳を澄ます。


「たいした本ではないわ。コックさんには難しいかも?ふふっ」
「あ〜ん。ロビンちゃんツレナイ〜〜」

 ちっちっ! あんのエロ眉毛、ロビンに寄り付くんじゃねぇ!
 毒を吐きながら成り行きを見守る。

「お〜いサンジ〜〜、おやつまだかぁ〜〜?」
「けっ、うるせぇぞ外野!!」
「ふふっ、ルフィらしいわね。コックさん作ってあげて? 私も楽しみしているわ」
「ハ〜〜〜イ。ロビンちゃんの為なら喜んでっ!」

 眼をハートにしながら奴はキッチンへ向かう。
 ちっちっちっ!!! バカ眉毛がっ! ロビンに気安く喋りかけやがって!
 ブツブツと文句を言っていると、ふと視界が暗くなる。
 眼を開けるとそこにはロビンがいやがった。
 オレは飛び起きてザザッと後退する。

「……驚かすな」
「ごめんなさい、でも私の名を呼んだわよね? 気安く喋るな? とか言っていた気がするけど…。
 ごめんなさいね。私の声すら迷惑よね。すぐに退散するわ」

 そう言って悲しい笑みを浮かべるもんだから、つい本音がでちまった。

「違っ…! それはエロコックがお前ぇに言い寄ってたからであって、お前にゃ言ってねぇ…!」
「…えっ?」
「……いや……あの……〜〜〜〜〜〜〜っ」

 ニッコリ笑ってロビンはありがとう。嬉しいわ。と微笑んだ。

 鼓動が聞こえるんじゃないかと思うくらいに脈打つ。
 顔が赤くなる気配がする。その姿を見られたくなくて、俺はロビンに背を向けて寝転んだ。

「ふふっ。おやすみなさい、剣士さん」
「……おう」

 ロビンの足音が遠ざかる。
 寂しいような、ホッとしたような感覚が付きまとう。
 しかし、女との距離が縮まった気がして、口が緩みながら眠りに入った。






あとがき

 ゾロはロビンちゃんが大好きなんですね♪
 二人が思いを寄せ合っている…と想像するだけで鼻血が……!

Z「いい加減にしやがれ!」
T「ひぃぃ〜!ご・ごめんなさ〜いι」


07.03.30
07.05.10(修正)

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