精神詩 -Lunacy-

□作品No.16〜20
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No.17

自由への代償



何故、
鳥を空に放そうとする。
何故、
魚を小川に放そうとする。
美しき羽が、風に
千切れてしまうだろう。
美しきひれが、流れに
千切れてしまうだろう。
美しく育ったカタチが、
汚れてしまうだろう。
醜いモノたちに、
傷付けられてしまうだろう。
其れを知りながら、
何故放つ。

何故、
疵付く道を選ぶ。
何故、
穢れの中に身を堕とす。
何故、
危険と知りながらも
自由を欲する。

それでも尚、
自由を欲するならば。
解き放とう、
私の手から。
繋いだ鎖を解こう。
私の牢獄から出ればいい。

その代わりに。
保護を求めてはならない。
其れが
自由への代償なのだから。
己の眼で、
自由を確かめるがいい。
疵付き、穢れ、絶望しても、
歩み続けて。
安全という名の牢獄から
出るがいい。




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『澱からの手紙』に書き方を似せて。
強く生きる為には傷付かなきゃいけないのかな、と。
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