精神詩(2) -Tranquilizer-
□作品No.21〜25
2ページ/5ページ
NO.22
中秋名月
テラスから見た満月は
血のように紅く燃えていて
昼に逃げた想いと
昼に見た現実の面影を
ゆらゆら照らして
夜風が背中を撫でて
冷たく嗤った
秋の匂いは
心まで枯らすから
頭上の紅い満月と
北の黄金色の三日月は
今日も仲良く喧嘩して
冬の甘い匂いを待ち望む
凍てついた心は
明日を夢見て
満月に泣いた
―――――――――――――――
夢とか想いとか
膨らむだけ膨らんで、見せ掛けだけは綺麗だけど
何の力にもならないな、と。