精神詩 -Lunacy-

□作品No.16〜20
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No.16

縫いぐるみ



苦しいから 吊るしたんだ
窓辺に 風に揺れるよう
ラベンダー色の想いは
水を失くして 枯れ果てた
開け放した窓から
眺めても 眺めても
希望の光は
遥か遠くを照らすだけ
カーテンレールに
吊るされた
昔からの 変わらない友達
薄汚れて 綿が出ている
悪い風に当てられて
外れかけた 黒いボタンが
僕を恨み 睨んでいる
窓から捨てた想いを
食べて 膨らんで
大きく育ったら
友達は何処へ行くのだろう
暗く 細い道のりを
一人で歩かないように
淋しくないように
僕も 一緒に行こう
そして 一緒に
苦しさから逃れよう
風に吹かれて
窓辺に揺れているのは
昔の想いと 夢と 希望と
色と 大切な友達と …僕




―――――――――――――――
高校の美術の授業で「自由画」がありまして
その時本当に自由に書いた作品が元ネタ。
(目が取れお腹から綿の出た兎の縫い包みが
窓辺で首吊りしている絵を描きました)
縫いぐるみは分身であり、親友であります。
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