芸術詩 -Profanation-

□作品No.6〜10
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NO.6

Ikaros



翼を手に入れたのに
ゆっくりと落ちていく
思考は躰よりも遅く
粉雪のように空を舞う
置き去られた想いを求め
脳が腐りゆく
伸ばした手で掴んだのは
手に入れたはずの翼
太陽の熱で蒸発する夢と
溶けて指に絡まる白が
甘い香りを残す
蒼い海に堕ちる僕と
蒼い空に堕ちる想い
消えるのはどちらだろう



―――――――――――――――
*Ikaros…イカロス。
 ギリシャ神話上の、名工ダイダロスの息子。
 蝋で作った翼で迷宮から脱出を図るも、
 太陽に近づき過ぎたため蝋が溶け
 海に落ち、溺れ死んだ。

夢を叶える代償は大きい、と。
身の程知らずな夢は、特に。
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