精神詩(2) -Tranquilizer-

□作品No.101〜105
1ページ/5ページ




NO.101

SCARLET



ありふれた体温は
もがくように熱を上げて
指先から蝕んでいく
骨の中の燐は燃え尽きて
喪われた意識から羽化したのは
唯一の緋色の蝶
太陽に焼けた夕刻の空に
蜃気楼と化していく



―――――――――――――――
埋没していく個性(自我)への怖れ。
それなのに飛び出した「個」は
出る杭のように打たれて
結局、哀しい哉、
埋没するしかなくなってしまう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ