暗黒詩 -Black-
□作品No.36〜40
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NO.38
午陰
地球の裏側で
誰かが誕生した日
僕は午<ヒル>の食事を
楽しんでいた
それは初夏の木洩れ日の下
食卓には銃がのっていた
地球の裏側で
誰かが死んだ日
僕は午<ヒル>の食事を
楽しんでいた
それは秋の薫る日
食卓にはナイフがのっていた
僕が死んだ日
僕は倒れる僕を見ながら
午の食事を楽しんでいた
食卓には
血塗れた心臓がのっていて
それは午睡から醒めた
夢のように
酷く薫っていた
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「午陰」は「昼間の木陰」という意味。
一見、絵になりそうな風景の中の非日常性。
でもその非日常は日常でもある。