精神詩(2) -Tranquilizer-

□作品No.6〜10
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NO.9

ノバラ



辺り一面紅い絨毯
甘い香りの薔薇の苑
甘い香りを誘う中
何処から現れた無垢な天使
天使が舞えば光降る
幻想的な独り舞台
紅い薔薇が無数の観客
天使が観客にそっと囁く
お前を神の下に連れて行こう
観客は嗤う
私には身を守る棘がある
天使も嗤う
神の庇護を拒むのか
天使は手折る
紅い観客を丁寧に
指を貫く紅い棘
手折った華を更に紅く
辺り一面紅い絨毯
甘い香りの紅い絨毯
天使が染めた紅い絨毯




―――――――――――――――
身を守る術すら
人を傷つける手立てしかない悲しみ。
そして独りよがりの救いの意識は
誰のためにもならない、と。
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