ss


□・・妖精・・アルト



「あー今日も忙しかったな」






バタッ







溜め息を吐きながら、ベッドに横になった。



生活が180度変わり、多忙な毎日を送っている為、最近は泥のように眠る。







「今日も1日お疲れ自‥分‥」



誰もお疲れ様なんて言ってはくれない。

せめて自分で…と
この一言が日課になっていた。








『お疲れアルト!』





!?






アルトの消え入りそうな声に重なって、可愛らしい高い声が耳元で響いた。




ゆっくりと二段ベッドの天井から視線を移動する。






「‥‥‥シェリ‥ル?!?!」







仲間達が寝静まった部屋の中でアルトの声が反響する。






『しー!!みんな起きちゃうわよ!』






その言葉にはっとし、気持ちを落ち着けようとするが、そうもいかない。



瞳に映ったのは、手のひらサイズのシェリルだった。
透き通った羽根をパタパタとさせていて、まるで本物の妖精のようだ。






「俺疲れてんだな‥‥」



もう夢の中だと言い聞かせる。







『アルト?なんで黙ってるのよー!』




『ねぇねぇねぇ!
さっきシェリルって呼んだじゃない!』








‥‥まだ聞こえる。‥‥見える。
現実??







「お前本当にシェリルなのか?
‥いやいやありえない。
シェリルはシェリルであってこんな小さいわけないし‥
…夢に決まってるよな」



妙な興奮と戸惑いで口数がやたらと増える。







『ふふふ。私はシェリルよ。
アルトにしか見えない妖精のね!』



妖精だと言い張るちびシェリルは、悪戯っぽく笑う。





頭が混乱してきた。







今日の昼間等身大のシェリルに会ったばかりだ。
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