人生の杜

□自然農
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<「粘土団子」の作り方>

【粘土団子の種子作り】

種子量の五〜十倍以上の粘土か赤土などをよく砕いたものに種子を混ぜ、水を加えて足で踏んで固練り状態にし、一センチ目の金網から押し出してから半日乾燥させたあとで押しもみするか、ミキサー(回転箱)の中でころがして、小指の先大(一センチ大)の団子を作る。

一個の団子の中に数個の(四〜五粒)の籾が入っておればよい。しかし、自然農法に習熟してくれば、一粒一団子が理想になる。

一粒一団子を作るには、水で湿した籾をざるに入れるかミキサーに入れ、霧吹きで水をかけながら、粘土の粉をまぶして(ふりかけて回転して)ゆけば雪だるま式に太って、0.5〜1センチ大の団子ができる。多量の場合は、コンクリートミキサー機のようなものを使えばよい。

粘土を混ぜた作土を使ってもよいが、春先まであまり早く団子が崩れてしまうようだと、鼠の害などをうける。

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『砂漠に種を蒔く』

略記

【種を蒔く人】

 五十年近く、自然を求めて彷徨した一農夫の足跡も、振り返ってみれば、その道はか細く、前途は日暮れてなおはるかに遠い。

 もちろん、自然農法の道は、最初から常に未完成に終わる運命をもつもので、一般にはそのままでは通用せず、アクセサリーとして、わずかに科学農法の暴走の歯止め役を果たしているにすぎない。

 しかし逆説になるが、自然農法が通用しない、やれない、しないということは、それだけ自然が致命的打撃をうけ、人心が荒廃しているということでもある。自然農法の使命は一段と重くなっていると言える。

 私の自然農法への道は、そのまま自然復活への手がかりをつかむためであったとも言える。 今多くの人から、地球の砂漠化が心配されているが、地球的規模での緑の喪失の原因は人知のおごりに出発した文明と農耕法の間違いに基づくものであることは間違いがない。


【砂漠は緑化できる】

 私は今、世界の緑を復活する元となる植物の種子を土団子にして蒔くことを提唱したい。
 その方法の一端を述べると、緑肥木のアカシヤ(モリシマ・フサアカシヤなど)、緑肥のクローバーやアルファルファ、ウマゴヤシなどの種子に穀物や野菜の種を混合した粘土団子にして、砂漠やサバンナの中にふり蒔くいて歩くのである。

 堅い粘土団子の中の種子は雨が降って発芽に適当な条件が揃うまで発芽せず、ネズミや鳥に食べられることもない。一年の間には何種類かの植物は生きのこり、緑化のてがかりをつかむことができるだろう。

 南の国には、石の上に生える植物、根のない植物、水を貯える木もある。なんでもよい、早く一応、砂漠を緑の草で被覆することができればよい。それが砂漠に雨を呼ぶきっかけになるだろう。

 自然農園の一グラムの土には、肥料を作る根瘤菌などおよそ一億匹の微生物(有用微生物群EM)がいる。私は、種子とこれを包んだ土(粘土団子)が、もしかすると、砂漠を蘇らす火種(起爆剤)になるかもしれないと思っているのである。

 私には、砂漠の中でこそ、自然農法の手法(粘土団子)が生かされて砂漠を桃源郷に変えることができると確信されるのである。

(砂漠緑化の詳しい手法は省略)
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