人生の杜

□自然農
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<野菜の野草化栽培>

◎野菜の自然輪作体系

略記

 農作物は、自然にまかせ、自然に近い状態で生長させたほうが理想である。なぜなら、農作

物はそれ自ら、どこ(適地)に、いつ(適期)、どのような方法、仕組み(耕種)で生育する

ものかをよく知っているからである。

 たとえば各種の穀物や野菜の種子を混合して、雑草やクローバーの中に撒播してみると、あ

るものは消え、あるものは残り、あるいは旺盛な発育をするものも出る。その作物が、開花結

実し、種子が落下し、地中にもぐり、種子が発芽し、ほかの植物と競合したり、助けられて生

長してゆくが、その生育過程の中で繰り広げられる自然のドラマは、驚嘆すべきものがある。

 自給自足を目指す小面積の家庭菜園や、荒地利用の野菜栽培などでは、このような一見無謀

な『混植』野草化栽培で十分間に合うものである。しかし、大面積の畑で、永年にわたって、

継続栽培する場合には、このような自然栽培を一歩進めて体系化した連作基準を作り、その基

準に従って計画栽培されねばならない。(自然輪作体系図は省略)


【空地に種をばら播く(野菜の野草化栽培)】

 野菜の野草化栽培というのは、私が勝手に名づけた名前であるが、それは原野や果樹園内、

堤防や荒れた空き地などに、野菜類の種をなんでもばら播いておくだけのやり方を指すのであ

る。多くのものは、クローバー(ラジノか白花)を混播しておくと、次第にクローバー草生の

野菜畑になる。問題は播種時期で、よい時期によい機会をつかんで、雑草の中に多数の種類の

野菜種とクローバーを混ぜてばら播いておくか、すじ播きするのが案外立派な野菜ができるも

のである。


■秋播きの野菜類は、夏草のヒメヒバ、エノコログサ、チガヤなどが成熟して枯衰しはじめたときがよい。

■春播きの野菜は、冬の雑草の繁茂が峠を過ぎた春三月下旬から四月、夏草の発芽する前がよい。
 
◆冬の雑草の中にばら播かれた種子は、枯死前の雑草が被覆材料となっていて、一雨あると草の中で発芽する。ただ、雨の量が少ないと枯れる時もある。
 だから二、三日雨が続くと思われる、菜種梅雨の時などに播くことが秘訣になる。特に豆類などはこの点で失敗しやすく、ぐずぐずしておれば鳥や虫の餌になって、すぐなくなってしまうものである。

◆野菜の種は、たいていのものは発芽しやすく、生育も旺盛なもので、雑草より先に発芽させておけば、雑草より先に繁茂して雑草を圧倒するものである。
 秋野菜やダイコン、カブなどは多量に播いておけば。冬草や春草の発生を防止する効果を十分あげることができるものである。

◆(野草化栽培は)最初の野菜とはおもむきの変わった、合いの子の野草化された野菜になって、たいていは巨大なお化けのような野菜になる。
 十キロ以上の大根、カブ、巨大な白菜など。食用には尻ごみするが、食べ方によればむしろ風味もあり、興味もある食品になる。
 ニンニク、ラッキョウ、ノビル、ニラ、ミツバ、セリ、ナズナなどの野菜は、一度植えておくと定着して永年化する。

◆春から初夏にかけて播く野菜の中で、雑草の中に播くには豆類がよいが、その中でもササゲ、カウピー、モンゴピー、メナガ小豆、などが一番たやすくできて収量も高い。
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