人生の杜

□食の危機
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その1

「食」は生きていくうえで欠かせませんが、その安全は人任せなのが、実情です。
偽装が問題になっていますが、正しそうな表示でも、それが本当か嘘かまで考えていたら限がありませんし、判断の下しようがありません。
判断の下しようの無いものをどこまで信用するか?

購入する商品は、商業ルートでやってきます。
食品と言えど、利潤追求が大前提の商業ルートを経ている時点で、全てを信用する事は難しいと思います。
そもそも、生産現場でも利潤追求が行われている以上、生産性向上や、生育促進が自然の力を超えて、人工的に行われているのが実情です。

一般生活者は、それらを調べるわけにはいかず、本来自然のものである食材にどれほどの人工的なものが含有されているか、判断の下しようがありません。

是非、時間の許す時に読んで欲しいものがあります。(ネットで拾った情報の転載ですが)
これからの、貴方の健康の為に、次世代の為に。

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いま私たちの「食」は、どうなっているのでしょうか?

●世界から食糧を買い漁っている日本という国

「戦略にはまる」という表現を、これほど見事に具体化した事例は世界の歴史でも多くはないでしょう。一般に、民族全体を巻き込む大規模な変化を引き起こすことは、簡単ではありません。ましてそれが、食習慣に関わる場合は---。

 この場合、戦略を仕掛けたのは過剰な農産物を抱えるアメリカであり、また「穀物・食品メジャー」などと呼ばれる穀物・食品流通の多国籍企業ですが、日本人がそれに呼応する体質を持っていなければ、戦略は空振りに終わったはずです。確かに、私たちにはその体質があったのでしょう。それまで守ってきたものを簡単に捨てて、新しい状況にのめり込んでいくという---。

 食糧輸入の自由化は、1960年代から段階的に実施されてきました。そのなかで、価格だけでなく品質面でも競争力がない麦類、飼料穀物そして大豆は、早々と基本的に輸入に依存する状況が造られました。次いで70年代以降に恒常化した工業製品の輸出増に絡む日米貿易摩擦を背景に、豚肉等の自由化と牛肉・オレンジ等の輸入枠拡大、そして1986年に開始されたガット・ウルグアイラウンド、またこれに並行した日米貿易交渉のなかで、91年には牛肉とオレンジ、92年には果汁の完全自由化が実施されました。

この新しい状況を、相前後して広まってきた「食」の洋風化、また外食や調理食品とともに、グルメ志向を強めた日本人の胃袋は迅速に「消化」しました。その背景には、食品加工産業や外食産業そして流通業が、競って安価な食材また新奇な食品の輸入に注力したという事実があります。また肉類については、価格の圧倒的な安さに加えて、味付けについての外食産業やハンバーガーチェーンなどの工夫もあります。

コメについては、国産米の全量政府買い上げという食管法があったため対応が硬直的になり、消費者に受け入れられない外米の「ミニマムアクセス(最低輸入義務)」という不合理な妥協を強いられてきましたが、結局99年4月1日より自由化(関税化)することになり、これによってすべての食品の輸入が自由化されました。

 このような過程を経て、1984年以降、日本は世界最大の農産物純輸入国になりました。世界の農産物貿易に占める日本のシェアは、例えば小麦は6%(過半を米国から、残りをカナダとオーストラリアから)、トウモロコシは25%(ほとんどを米国から)、大豆は14%(大半を米国から、一部をブラジルなどから)となっています。98年の金額では、輸出はわずか2千億円、これに対して1960年に5千億円だった輸入は4兆4千億円にもなっています。

品目別にこれを見ると、この間の変化の激しさが実感できるでしょう。今では生鮮野菜でさえ、年間に80万トンも輸入しています。97年の輸入金額を80年と比較すると、「果実およびその調整品」が3.4倍、「野菜およびその調整品」が6.1倍、「鳥獣肉類およびその調整品」が5.2倍、そして「酪農品、鶏卵」が3.5倍と急増したのが特徴的です。いまや日本の食糧調達先は、水産物(世界シェア28%で、中国、米国、インドネシア、タイ、韓国、ロシアなど)や嗜好品も含めて、世界の主要国すべてにわたっているといっても過言ではありません。そのなかには、日本の商社や外食産業が投資して、日本向けに生産した産品の「開発輸入」もあります。

こうして食糧の自給率は下がり続け、98年には、カロリーベース(供給熱量自給率)は40%、穀物自給率はわずか27%となりました。これは、先進国の中で、飛び抜けて低い数字です。主要先進国で穀物自給を達成していないのは日本以外ではイタリアだけですが、それでも80%近くはあるのです。


●穀物輸入の大半を依存するアメリカの農業は?

食糧の輸出入に関する国際協定は、輸出国の義務についての拘束は事実上ゼロです。輸出国は、自国の食糧供給に問題が生じた場合は、いつでも輸出を止められるわけです。日本が、穀物輸入の大半を、そして食糧全体でも圧倒的なシェアを依存しているアメリカ(97年では38%、その他には中国9%強、オーストラリア9%弱、カナダ5%など)の農業は、この先も安泰なのでしょうか?

 例えば、アメリカの穀倉グレート・プレーンズといわれるロッキー山脈東麓の大平原の農業は、オガララ帯水層という地下の水源に主に依存しています。これは、サウスダコタ、ワイオミング、ネブラスカ、コロラド、カンザス、オクラホマ、ニューメキシコそしてテキサスの8州にまたがる巨大な帯水層ですが、1940年に水源としての開発が始まってから1994年までに、この広大な地域の加重平均の地下水位は3.5メートル下がりました。特にカンザス州南部からテキサス州にかけての南半分では、20メートル以上または40メートル以上低下した地域が広範囲にあります。

ここでの灌漑は、センターピボットといって、半径1キロメートルにも及ぶ車輪のついたパイプをゆっくり回転させて、汲み上げた地下水をパイプの小穴から散水する方式が主体です。問題は、毎年の雨水によって補給される以上に地下水を汲み上げるという、「持続可能でない」農業を行なっていることです。場所によっては地下水が枯渇して、耕作放棄せざるをえない農地も出てきています。

一方、カリフォルニア州には、中央部にサン・ホアキーン・バレーという広大な平原があります。年間降水量が150ミリ程度しかない(日本では、降雨の少ない帯広や長野でも900ミリ強)ここでの灌漑は、東側のシェラネバダ山脈の雪解け水にもっぱら依存していますが、それを、ダムから取水する総延長1000キロメートルにも及ぶ運河で配水しています。ご存知のように降雪は年毎の変動が大きく、1992年まで6年連続の干ばつに見舞われました。その後も、1993年は洪水、その翌年には一転して水不足になるなど、不安定な状態が続いています。また、土壌が水路に流れ込んで流出するという、日本では考えられない問題も起きています。

このようにアメリカの農業は、もともと適地でないところを「力ずく」で開発した農地に、大量の化学肥料と農薬を投与して営農する、単作の大規模経営が特徴です。それから生じる余剰部分のはけ口は、海外に求めざるをえない---ということになるのです。今のところ余剰の量が大きいので、内在している構造的な不安定性を、輸入する側に感知させないで済んでいますが---。
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