人生の杜

□経済・行政
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テレビや新聞の株の暴落のニュースを自分とは無縁の事として眺めているだけなら、ニュースを見てる意味がそこになく、見ないに等しい事ですし、見なくても良いことになります。
社会と密接に関わる問題だから、彼らも報道をするわけです。

欧米の金融関係や弁護士のレイオフが数万人に達すると言ってます。
プライド高き高給取りたちが怒涛のごとく、無職になります。
中国では、去年1年に労働者や年金生活者を携えて株の口座を開いた人たちが3500万人もいるそうです。
株の素人達が、国や金融機関に踊らされて、株をしない者は、負け組みのように思わされ、コツコツ貯めた財産をドブに捨てて行きます。

日本はバブル崩壊のときに、ゼロ金利政策で銀行が利益を出し易いようにし、公的資金を注入して、荒療治をし、外需が安定していたお陰で、何とか体裁を保っています。
不動産バブルという分かりやすい症状だったので、対策はそれしかないという医者としたら治療をし易かったと病気といえます。

今回のサブプライムから派生している問題は、対象の債券がウィルスのように色々な証券の中に紛れ込んでおり、どこにどれくらいの損失があるのか判らなくなっているそうです。
だから今出来るのは、金利下げと為替介入になると言いたげです。
それらで、今回の騒動を治めることが出来ないのをよーく知っているのに!!
金融機関は公的資金注入を渇望しています。それをしなければ根本治療になりません。
損失が分からなくても、取りあえず概算で注入して、これからも必要なら注入すると言えば、収まります。
痛い目をせずに、先々手を打てば甘えさす事になると、尤もらしい事を言ってる場合ではないのが、現在起きている問題です。

恐らくは、偉いさん方々は、注入する金額が後に天文学的になる事を、早くから知っています。
公的資金を注入をしようが、金利を下げようが、為替介入をしようが、延命措置にしかならないのを知っています。
それでも、延命措置をし続けると思います。あるイベントが起こるまで
という事は、株は踊り場を設けながら、落ち続けていきます。

サブプライムや株のことを考えても、仕方がありません。
経済は金融そのものです。
金融経済が始まった大昔からクラッシュを起こすように出来ています。
歴史は、金融崩壊→戦争→再生を繰り返しています。
今は、人口も経済も地球規模で超拡大していますので、クラッシュが起きれば損害も悲惨になると思います。

例えば、不動産を3000万円で買ったとしましょう。
それを売る時に2500万円に下がっていたとしましょう。
最初に現金で買っていれば、単に損するだけです。最低2500万円が手元に残るのですから、何か命や信用に関わるような事態になるわけがありませんし、世の中に不安をもたらす訳ではありません。
これが本来、正常といえば正常な取引です。

金融経済は、現金で買われれば出る幕がありません。
銀行はお金を預かってるだけでは、倒産します。
融資をして利ざやを稼がなくては成り立ちません。
出来れば全額をローンにしてもらいたいほどです。
人が3000万円を現金で貯めるのは、至難の業ですし、どれくらい将来の話になるか分かりません。
銀行とお客の思わくが一致し、融資が成立します。
企業も経済が好調なうちに、儲け時を逃さないようにライバル社よりも早く設備投資をして、さらに儲けようという思惑で、銀行が融資したいという思惑との一致で、融資が成立します。

例えば家購入時の3000万円を30年のローンで用意したとしましょう。
お客は30年に渡り、返済をして行く事になります。
融資元の銀行はお客の取引先の不動産会社に現金で3000万円を払います。
もし銀行に3000万円がなかった場合は、銀行はお客に融資したよりも低利でお金を調達し、利ざやを稼ぎます。
この調達先が多くの場合、インターバンクという銀行間取引先で行われます。

銀行はお金を多くのお客達から預かっています。
このお金は元々お客達のものです。
要請があれば、金利を付けて返さねばなりません。
という事は、前述の3000万円は、どこかの銀行のお客達のお金です。
不動産会社に支払われた時には、瞬間にはお客達のお金が不動産会社に渡っています。
要請があれば返さなければならない3000万円と、不動産会社に渡った3000万円とで、合計は6000万円です。
けれども現金は実際には3000万円しかありません。
不動産会社に渡った時点で、お客達の現金は、預金通帳という紙切れになります。
また、利息にあたる現金も元々は存在していません。
ようするに3000万円プラス利息は、元々現金としては存在しません。
また一方で、国の中央銀行も銀行達の要請に応じて、紙幣を刷り、貸し付けます。

こう考えていくと、世の中には、お客達が預けた分の現金と日銀が刷った現金が融資として出回っていることになります。
「金は天下の回り物」とはよく言ったものです。
経済は、不動産や設備投資に代表される先取りした投資の拡大と共に、出回るお金が拡大し、発展し、収入の増加に繋がっています。

融資したお金が焦げ付いて、回収が出来なくなる事もありますが、リスクは発展拡大の中で吸収されていきます。

昨今の中国のような急激な成長を考えた場合、元々中国には「元」としての現金が今ほどないところから始まっていますので、国民が銀行に預けたお金プラス、海外からの投資プラス、中国中央銀行が刷ったお金が大量に出回り、それがさらに預金量と投資と中央銀行からの供給の増加に繋がり、世の中に出回るお金がうなぎ登りに上がっていきます。
よく考えねばならないのは、預金量が増えたとしても、その源泉は融資であることです。国民は収入が増え、手元の現金が増えて喜びますが、その源泉は融資というバブルです。元々無かったお金です。

しかし一旦大規模な不況が起こると、収入が減り、預金の取り崩しをしなければならなくなります。その分、銀行も貸し付けることが出来るお金が少なくなり、融資の量が減り、お金の循環が少なくなります。
そして、融資の焦げ付きが増え、吸収できず、銀行が払い出し困難というデフォルトが発生します。
今回起こっているようなサブプライムを起点にした問題は、全世界規模であり、全世界を不況に陥れる危険があります。
どの金融機関が、どれくらいの不良債権をもっているかが分からず、疑心暗鬼となり、通常行われている銀行間の現金の融通しあう市場が機能しなくなります。
現在、その機能麻痺からのデフォルトを防ぐ為に、各国中央銀行がその市場にお金を刷って供給しています。

大量の住宅ローン返済不能から始まったサブプライムウィルスは金融内部に発生し、信用収縮を起こし、融資機能停止、デフォルトという、悪循環を起こしています。
経済が現状維持という停滞でおれるなら、危機とは言えませんが、融資として出回ったお金の回収作業が中心になると、元々存在した現金量に収縮していく事になってしまいます。

自由経済主義はその発展が義務と責任みたいなもので、取りも直さず、拝金主義のことになります。
元々本当の現金は少ないのですが、融資がお金を捻出し、それが拡大し、何千何万倍にも膨れ上がったバブルが現在の経済です。
預金は元々お客のものでありますから、銀行は、お客に利息を払わず、逆に保管料を取り、法律で融資行為を禁じられていれば、バブルは無かったのかもしれません。

ねずみ講と同じで、いつかは、崩壊するのも宿命となります。

歴史は、金融崩壊→戦争(破壊)→再生を繰り返しています。
地球に在る物全てに宿る循環の法則です。

何が起ころうとし、それにどう備えておいたら良いかを考える力は人に備わっています。
突き詰めれば、自分は何を考え、何をしたがっているかを自分に問いかける作業に他なりません。
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