お題

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ー新選組?ああ壬生狼のことかい?
ーあんた、なんでそないなこと聞くんです?
ー新選組なんて大層な名前…あないな人斬り集団は壬生狼で充分や
ーうちらから見れば新選組も攘夷志士も同じですわ。
ーどこでも御用御用と…この間なんか島原で…
ーええ殿方の集まりどす。なぁ?
ーへぇ、特に土方はんは、ええ男どすなぁ
ーあら、うちは原田はんがええと思います!!
ー原田はんもえらく男前で…
















「新選組?」

甘味屋の主人に尋ねると怪しむかのように眉をひそめる
ここに来てから幾度となく同じ質問をしてきたが、よくもまあ同じような反応をするものだ

「ええ、新選組なんですが…」
「やめとき…あんまり関わらん方が身のためや」

主人は声を潜め私にだけ聞こえるように囁く

「あまりいい噂聞きませんがね…」
「当たり前や!!あないな人斬り集団…ほら、噂をすれば影やで」

主人が見ている方向に視線をやると
派手な着物をきた集団が、我が物顔で道のりど真ん中を歩いている

(浅葱色、)

「あの先頭にいるのが組長はん。新選組幹部…あらま珍しいな、副長の土方はんや」
「えらく、派手ですねぇ」

あんな派手な姿な連中に殺されるなんて

(浪士共もまぬけですね)


ふと、よくよく見てみると浅葱の集団の中に頭ひとつ分以上低く
しかも浅葱の羽織を着ていない人が見えた

「あれは…」
「多分、土方はんの小姓じゃないですかねぇ…一応、副長なんていう大層な…」

一瞬、一瞬だけ顔が見えた。

「あ…」
「どないしました?」
「わたしの、探し人によく似ていたもので…アノコ」

すんまへんー。と声が聞こえ主人は客の元へ行ってしまった

あれは間違えない間違えるわけがない
なんで新選組と一緒にいるのかわからないが
見つけたのだやっと…やっと!!

「ご主人、」

わたしはお金を払うときに主人に問いかけた

「新選組の屯所ってどこにあるんですか?」

あの時、主人の嫌そうな顔は暫く忘れられそうにない
















「だんな、隊士になるおつもり…で?」
「違いますよ!!先ほどの方にお会いしたくて…妹にそっくりだったものですから」
「妹、さん?」
「話せば、長くなります」



















「だんなぁあああ、これ、地図なんです!あと土産にこれを持って行ってくだせぇ…はよう妹さんと会えるとええですね」

わっと泣き出して団子を押し付けてくる主人に、少し迷惑した

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