Song For You
□涙よ、とまれ
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阿水。「いつか、また」水谷ver.
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あの空も、雲も、木も。
あのときから、まるで色がなくなったみたいに感じる。
二人で見ていたころのように…きれいだと思えなくて。
オレの目にはうつらなくて…。
阿部がいないと…何も見えない。
何も感じない。
心のなかにぽっかりと穴があいたみたいに。
ぬけがらになったみたいに。
でも…時間だけはただ過ぎて。
阿部がいなくなったこの町。
オレも、もうすぐいなくなる…この町。
特別なとこは何もない町だけど…二人の思い出がつまってる。
阿部は…どんな風に思ったんだろう。
この町を出ていく時。
阿部もオレと同じように…感じていたんだろうか。
同じ気持ちで…電車を待ったんだろうか。
最後に見た阿部の顔は、すごく辛そうだった。
必死に泣くのをこらえているような…そんな表情。
オレを泣き虫だってからかうけれど、阿部だって結構泣き虫だ。
ときどき見せるそんな弱いところも…
愛しいと思ってた。
大好きだった、
このままずっと、一緒にいられると。
オレは、思ってたんだ。
泣いてもいいよ、って…オレが言うと。
「…泣かねぇよ」
少し掠れた声で、阿部は答えた。
そうして、そのままオレに背を向けた。
「……じゃあな」
またね、って…言ってほしかったのに。
最後の言葉は、それだけだった。
視線は、最後まで合わなかった。
「……またね」
それでもオレは、笑顔で手を振った。
たとえ阿部が見ていなくても。
無理な笑顔がひきつっても。
阿部が見えなくなっても、オレはずっと手を振った。
神様、どうか今日だけはオレの涙を止めていて。
阿部が笑顔を覚えていてくれるように。
それだけを、ただ、願って。
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阿水、別れの話。
「いつか、また」の水谷ver.です。
こちらは「夏.之.華」をイメージしたもの。
ほんとうは「いつか、また」から少し時間が経ったくらいを
イメージしてたんですが…終わってみるとそれほど時間が経ってない感じに;
この後の話を考える上でも、とりあえず時期はあまり離さないままに
してみました。基本ハッピーエンドに持っていきたいので(笑)
こちらもリクエストいただいた歌から考えました。
リクエスト、感想ありがとうございましたvvこれからもよろしくです!